研究課題/領域番号 |
24790167
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研究機関 | 北海道薬科大学 |
研究代表者 |
戸上 紘平 北海道薬科大学, 薬学部, 講師 (20582357)
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キーワード | 肺線維症 / ピルフェニドン / ブレオマイシン誘発性肺線維症モデル / FTS / 肺内動態 / 肺投与型微粒子製剤 |
研究概要 |
平成25年度は、平成24年度に評価した肺線維症治療薬の候補化合物を肺内に投与することを目的とし、肺線維症モデル動物における肺投与型製剤の肺内動態の評価を行った。以下にその概略を示す。 【方法】ラット及びマウスにブレオマイシンを肺投与し、肺線維症モデル動物を作成した。肺線維症ラットに、6-CF、FD-4、FD-10及びFD-70を肺投与した。血漿及び気管支肺胞洗浄液中薬物濃度から、薬物の肺内滞留性を評価した。また、肺線維症マウスに、粒子径125, 400及び850 nmのインドシアニングリーン封入リポソームを肺投与した。投与後の肺内動態をin vivo imaging装置を用いて評価した。 【結果および考察】肺線維症ラットにおいて、各分子量の薬物肺投与後の血中濃度は、正常ラットよりも高い値で推移した。このときの気管支肺胞洗浄液中の残存量は、いずれの薬物も正常動物より低い値を示した。一方、肺線維症マウスにおいて、リポソームは正常マウスよりも肺内に残存し、粒子径125 nmで最も高い滞留性を示した。これらの結果は、肺線維症発症時に薬物を肺投与しても速やかに血中へ漏出するが、微粒子製剤を用いることで、肺内滞留性を確保できることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度においては、当初の目的としていた肺線維症発症時の肺内動態評価を中心に行った。概ね、当初の計画通りに評価は進んでおり、平成26年3月に行われた日本薬学会第134年会でその成果を一部発表した。現在は、すでに学術論文としてその成果を投稿する準備に入っている。この結果を基に、平成26年度に行う肺投与型製剤の構築を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の本研究の計画では、肺線維症治療薬を封入した肺投与型製剤を構築し、その実際の治療効果の判定を行うことが主目的であった。現時点で、肺線維症の治療に最適な肺内動態特性を有する肺投与型製剤の構築はある程度完了しており、その成果は平成26年7月に行われる日本DDS学会で発表予定である。今後は、その製剤に肺線維症治療薬を封入し、肺線維症モデル動物における治療効果の判定を中心に行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度末に、研究成果を学術論文に投稿予定であったが、共同研究者とのやりとりなどに時間を費やしてしまい、間に合わなかった。この次年度使用額は、その学術論文の英文校正、投稿料、掲載料、別刷印刷料である。 上記のように、この次年度使用額は昨年度の研究成果発表のための論文投稿に用いる予定である。
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