研究課題/領域番号 |
24790172
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
横川 彰朋 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70328558)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コルチゾール / コルチゾン / 11β-HSD / 本態性高血圧 |
研究概要 |
11β-hydroxysteroid dehydrogenase 2 (11β-HSD2) は,腎においてコルチゾールを不活性なコルチゾンに変換する.本態性高血圧の原因の1つに,11β-HSD2活性の低下が知られている.11β-HSD2活性低下による高血圧症では,コルチゾール濃度が上昇してミネラルコルチコイド受容体と結合するため,抗アルドステロン薬による治療が有効になると考えられる.しかし,11β-HSD2酵素活性と血圧上昇との関連性が不明なままであり,従来の活性評価法の尿中コルチゾン/コルチゾール比は,正確性に欠けるため検討が進んでいない.本研究では,申請者の研究室で開発された新しいヒトin vivo 11β-HSD2酵素活性評価法 (尿中コルチゾール濃度で補正した尿中コルチゾン/コルチゾール比) を用い,11β-HSD2酵素活性と血圧上昇との関連性の解明と11β-HSD2活性低下に起因する高血圧症患者の鑑別診断へ応用することを目指す. 平成24年度は,11β-HSD2阻害作用を持つグリチルレチン酸をヒトへ投与したデータより新しいヒトin vivo 11β-HSD2酵素活性評価法の信頼性を評価した.グリチルレチン酸は,健常人3名を対象に,1日1回130 mgを5日間経口投与し,経時的に尿を採取している.GC-MSにて採取した尿中のコルチゾール, コルチゾン濃度を測定後,新しいヒトin vivo 11β-HSD2酵素活性評価法を用い,酵素活性を評価した.その結果,グリチルレチン酸投与前では11β-HSD2活性が正常であったのに対し,グリチルレチン酸投与中では11β-HSD2活性が低下を示しており,新しいヒトin vivo 11β-HSD2酵素活性評価法の有用性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であるグリチルレチン酸投与時のヒトin vivoでの 11β-HSD2酵素活性評価が行えた.従って,本年度の到達度としては,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
腎疾患患者を対象に「新しいヒトin vivo 11β-HSD2酵素活性評価法」を用いて11β-HSD2酵素活性を評価し,腎疾患時に発生する血圧上昇と11β-HSD2酵素活性の関連性を検討する.杏林大学医学部付属病院腎臓内科に入院中の腎疾患患者60~80名を対象に,24時間の蓄尿を行う.サンプルの採取に関しては,杏林大学医学部第一内科学教室,山田明教授,川嶋聡子医師の協力が受けられる体制を構築している.その後,東京薬科大学臨床薬学教室にて患者の尿中コルチゾール, コルチゾン濃度を測定し,11β-HSD2酵素活性を評価する.11β-HSD2活性と血圧を比較することで11β-HSD2酵素活性が血圧に与える影響を調査する.なお,患者の尿採取に関しては,既に杏林大学倫理委員会の承認を得ており,被験者には文書によるインフォームドコンセントを得てから行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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