研究課題/領域番号 |
24790175
|
研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
中川 沙織 新潟薬科大学, 薬学部, 助教 (30410228)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | イソプレノイド / 肺がん / がんバイオマーカー / LC-MS/MS / エピカテキンガレート |
研究実績の概要 |
イソプレノイド化合物は細胞増殖に関与することから、がんの診断における指標として注目されてきている。 本研究課題は、これまでに明らかにされていなかった血漿中イソプレノイド濃度を明らかにし、肺がんバイオマーカーとしての可能性を検討するとともに、培養細胞系を用いてイソプレノイド化合物に作用する物質を探索し、新規抗がん剤のターゲットとしてのイソプレノイドの有用性を提案するものである。 まず、LC-MS/MS法を用いてヒト血漿中イソプレノイド化合物の定量法を確立し応用したところ、血漿中イソプレノイド化合物の中でもファルネシルピロリン酸 (FPP) のみが定量でき、その安定性を調べたところ、-80℃の保存においては採血後334日まで安定に測定可能であった。さらに、健常人とがん患者の血漿中FPP濃度を比べたところ、健常人は0.386 ng/mL、がん患者は0.297 ng/mLとなり、健常人に比べてがん患者は若干低い傾向であった。今後、検体数をさらに増やすことで、血漿中イソプレノイド化合物のがんマーカーとしての有用性が明らかになると思われる。 また、イソプレノイド化合物の生合成系に作用する物質を探索する研究の一環として、コレステロール合成阻害作用をもつ茶由来のポリフェノールであるエピカテキンガレート(ECG)をヒト肝がん由来HepG2細胞の細胞培養系を用いて評価した。その結果、ECGの添加によって、IPPおよびDMAPPの減少傾向を得ているが、検体数を増やしてさらなる検討が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年7月28日より産休、育休明けで復職したが、子供がまだ4か月であり、保育園に入園できず、時間短縮労働で勤務していたため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、5月1日よりフルタイムで勤務するため、時間を十分に取って研究を進めていく予定である。 継続して健常人の検体を追加測定することで、年齢差、性差を比較し基準値を求めるとともに、さらに肺がん患者の検体を増やし、血漿中イソプレノイド化合物の定量を行い、健常人と比較してがんバイオマーカーとしての有用性を検討する。 また、培養細胞を用いた評価系への応用も継続し、LC-MS/MS法を用いて評価物質であるコレステロール合成阻害作用を持つポリフェノール(特に代表的な茶由来カテキン、エピガロカテキン、柑橘由来のヘスペレチン、大豆由来のダイゼインなど)について、細胞内外においてそれぞれの阻害作用を検討する。 総括として、血漿中イソプレノイド化合物のがんバイオマーカーとしての有用性をまとめ、イソプレノイド化合物をターゲットとした新規抗ガン剤としてのビスホスホネート製剤やポリフェノールの有用性をまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2014年2月3日より7月28日まで産休、育休のため本科学研究費助成事業を中断し、1年間の延長を申し出た。職場復帰により、最終年度の研究を行うことができる。
|
次年度使用額の使用計画 |
血漿中イソプレノイド化合物の定量や培養細胞を用いてポリフェノールの評価を行うための物品費に充てる。また、イソプレノイド化合物定量のための前処理に関する研究をBMAS2015(長崎)で学会発表し、血漿中イソプレノイド化合物の実試料定量に関する研究を日本薬学会年会(横浜)において学会発表する。出張費はこれらに充てる予定である。
|