研究課題/領域番号 |
24790178
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
福島 恵造 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (30454474)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中心静脈栄養 / TPN / 薬物動態 / 小腸萎縮 / 消化管萎縮 / 栄養療法 / 吸収 / 代謝 |
研究概要 |
平成24年度の一般目標は、『長期TPNによる消化管萎縮時の薬物吸収能および代謝・排泄能への影響を評価する為に、モデル化合物を用いたin vivo評価検討を行い、薬物体内動態変動の規範的エビデンスを構築する』を設定していた。 一般目標を達成する為の到達目標(実施計画)として、以下の4つを実施した。1、病態モデル(TPNラット)の作製および確認。2、モデル化合物の当該機関での測定法の確立。3、静脈内投与時の薬物動態の評価。4、小腸closed-loop内投与による吸収能の評価。なお、モデル化合物としては、水溶性・低分子・腎排泄型で主として細胞外経路で吸収されるPhenol red (PSP)および、脂溶性・高分子・肝代謝型で主として細胞内経路で吸収されるCyclosporine A (CyA)を用いた。 結果:7日間のTPN処置により作製したTPNラットにおいて、小腸の湿重量およびタンパク含量の低下を認め、また、組織切片の形態学的観察からも小腸の萎縮が観察された。TPNラットにPSPおよびCyAを静脈内投与後、PSPに関しては顕著な薬物動態学的変動は認められなかったが、CyAに関して肝代謝能の減弱に起因すると考えられる消失遅延が観察された。一方、小腸closed-loop内投与後、PSPに関して吸収率が約2倍に増加していたが、CyAに関しては約1.1倍の増加にとどまった。本年度の結果より、消化管萎縮時の薬物動態変動は、薬剤の投与経路および投与薬剤の薬物動態学的特性に依存することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
年次計画は、ほぼ予定通りに完遂している。加えて、次年度(平成25年度)計画の予備実験に着手しており、概ね良好な結果が得られているからである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(25年度)の一般目標は『消化管萎縮時の薬物体内動態変動のメカニズム解明および臨床的意義を評価する為に、特異的基質を用いた詳細な評価検討ならびに臨床使用が想定される薬物について基礎的検討を行う』である。 実施計画として、24年度の形成的評価を踏まえた上で以下の4つを設定している。1、特異的基質(rhodamine 123, midazolamなど)を用いたin vivo実験。2、各種トランスポーターまたは代謝酵素のWestern blotによる発現量の測定。3、抗菌薬(バンコマイシン)の消化管萎縮時の薬物動態検討。4、投与薬物の測定法の確立。 ただし、進捗状況に応じて追加検討も行う場合がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物および実験用消耗品に補填する。
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