研究課題/領域番号 |
24790183
|
研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
多田 稔 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (50506954)
|
キーワード | 抗体医薬品 / TNFα |
研究概要 |
平成25年度は抗TNFα抗体医平成25年度は抗TNFα抗体医薬品の抗原-抗体複合体形成能の差異が、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性およびリバースシグナル伝達に及ぼす影響を明らかにするため、以下の研究を実施した。 1.抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性の解析:独自に開発したレポーター細胞(Jurkat/FcγR/NFAT-Luc)を用いて、ADCC活性の発揮に密接に関与するFcγR受容体の活性化を測定した。まず本アッセイ系が抗TNFα抗体医薬品によるFcγ受容体の活性化を評価可能であるかを検討する目的で、可溶性TNFαの共存下で複合体形成能の異なるインフリキシマブおよびアダリムマブによるFcγ受容体の活性化を測定した。その結果、複合体形成能の高いインフリキシマブではアダリムマブに比べてより強いFcγ受容体の活性化が検出されたことから、本アッセイ系が複合体形成能の異なる抗TNFα抗体医薬品のFcγ受容体活性化能の評価に有用であることが明らかとなった。そこで本アッセイ系を用いて、前年度までに樹立した発現量の異なる複数の膜結合型TNFα発現細胞を標的としたレポーターアッセイを実施した結果、可溶性TNFαを標的とした場合と同様に、インフリキシマブはアダリムマブに比べてより強いFcγ受容体活性化能を示すことが明らかとなった。膜結合型TNFα発現細胞に対する結合親和性は両抗体で同等であったことから、認識エピトープの違いによる複合体形成能の差異が膜結合型TNFα発現細胞に対するエフェクター細胞の活性化、すなわちADCC活性の発揮に関与することが示唆された。 2.リバースシグナル伝達の解析:インフリキシマブを試料として、前年度までに樹立した膜結合型TNFα発現細胞に対するアポトーシス誘導能測定系の最適化を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は既承認の抗TNFα抗体医薬品の抗原-抗体複合体形成能の差異に着目し、膜結合型TNFαを標的とした細胞傷害活性およびリバースシグナル伝達に及ぼす影響を解析することにより、抗TNFα抗体医薬品の薬効発現メカニズムを明らかにすることを目的としている。平成25年度は、独自に開発したFcγ受容体の活性化を評価可能なレポーター細胞を用いて、抗TNFα抗体医薬品の認識エピトープの違いによる複合体形成能の差異が膜結合型TNFα発現細胞に対する細胞傷害活性の発揮に関与する可能性を明らかにした。また、リバースシグナル伝達に関しても、抗TNFα抗体医薬品によるアポトーシス誘導能測定系の最適化が進行しており、研究全体として概ね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、抗TNFα抗体医薬品の複合体形成能の差異が抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)およびリバースシグナル伝達に及ぼす影響の検討を行い、膜結合型TNFα発現細胞を標的とした抗TNFα抗体医薬品の薬効発現メカニズムを明らかにする。加えてリバースシグナル伝達に介在する細胞内シグナル伝達経路の解析を実施する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究計画当初の予定に比べて、購入消耗品が少なかったため。 次年度に繰り越した研究費は、消耗品費(細胞培養用試薬等)として使用する。
|