研究課題/領域番号 |
24790190
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
上野 仁之 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30586251)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | オートファジー / 筋形成・再生 / LC3 |
研究概要 |
発生後の筋細胞内のオートファジーの働きを見るため、発生3,5,10日においてのオートファジーのマーカーLC3及びオートファジーの基質p62の発現と局在をウエスタンブロッティング及び蛍光抗体で観測した。ウエスタンブロッティングにより発生後のLC3の発現量は緩やかに減少する事が分かった。また定常状態ではLC3の活性型のバンドはいずれの時期もほとんど見られなかった。細胞内の局在もあまり目立ったシグナルは得られなかった。このことより発生後の定常状態の筋細胞内ではほとんどオートファジーが働いていない事が分かった。 さらに筋分化時のオートファジーの働きを観察するためにマウス筋芽細胞株C2C12を用い、筋繊維の形成途中のLC3及びp62の発現量及び局在をウエスタンブロッティング及び蛍光抗体法を用い観察した。ウエスタンブロッティングにより分化前に比べ分化誘導後はLC3の発現量は増え、p62の発現量は減ることが分かった。筋分化の指標になるdesminは分化誘導後徐々に増えたものの、LC3活性型及び不活性型の誘導後の発現量は特に変化は見られなかった。蛍光抗体法により分化誘導後すべての培養細胞でオートファジーが活性化されているわけでは無い事が分かった。特に多核化したものや長細く伸びた細胞の両極の端にLC3は局在していた。このことにより筋芽細胞の融合時または筋菅細胞の形態形成などにオートファジーが重要な働きをしているのではないかという事が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ディープフリーザーの故障により凍結した切片試料の保存が不安定になったので、当初は初年度に予定していたマウス個体での解析を延期し、今年度は培養細胞による解析を進めた。そのため、今年度の予算の繰り越しを多めにし、次年度にディープフリーザーを購入する。これにより当初は初年度に行う予定だったマウス個体での解析を次年度に行うこととした。培養細胞での解析はオートファジーの活性が高い時期を特定する事ができ、マウス個体での解析をスムーズに進める助けになる。また、薬剤によるオートファジーの促進と抑制の実験も条件検討を行っており、次年度、最終年度に行う実験を前倒しにして行っている。以上の理由により当初の予定よりやや計画は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
骨格筋発生・再生時におけるオートファゴソームを観察する:筋発生・再生における未成熟な骨格筋をマウス胎仔、および成体マウスの傷害後の筋から採取する。筋発生では、中胚葉由来の体節から筋芽細胞が出現する。筋芽細胞は体幹や四肢へ移動し、多核の筋管細胞になる。出生時の骨格筋には、中心核を持つ未熟な骨格筋細胞が多く存在する。筋再生は、成体の骨格筋をコブラ毒であるカルジオトキシンで傷害すると、誘導される。傷害後、約 1ヶ月の間に、筋衛星細胞の活性化から、骨格筋の成熟までを観察できる。上記のような骨格筋発生・再生過程における未成熟な骨格筋細胞で、オートファゴソームのマーカーであるLC3の発現と分布を明らかにする。 筋芽細胞株C2C12を用いてオートファジーの阻害剤である3-メチルアデニンまたは促進剤であるラパマイシンを加え分化への影響を観察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費使用計画については、大型機器については前年度の繰り越しをあわせディープフリーザーを購入する。あとは上記の今後の推進に記した解析に必要なマウス、試薬、器具等の実験用消耗品などを中心に使用する。また、論文校閲の費用、日本解剖学会での発表のための国内旅費を計上している。
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