研究課題/領域番号 |
24790194
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
森 健太郎 福井大学, 医学部, 助教 (50397296)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
本年度は研究計画に基づいて以下の研究を実施した。 (計画1)これまでに作出したVillinプロモーター制御下でIrx5を発現するトランスジェニック(Tg)マウス(vil-Irx5)に加え、同プロモーター制御下でIrx3を発現するTgマウス(vil-Irx3)の作出を行った。マウスVillin遺伝子の発現制御領域 (12.4kb villin-ΔATG)にマウスIrx3cDNAを連結したプラスミドDNAを構築し、受精卵へのインジェクションに用いた。2回のインジェクションを行い合計732個の移植胚より48匹の出生仔が確認された。そのうち6個体について遺伝子の導入が確認され、現在、それらについてIrx3遺伝子の異所性発現を検討している。本研究実施中、Tgマウスを用いた解析により転写因子Sox2は胎仔小腸上皮細胞における異所性発現により小腸上皮細胞を扁平上皮細胞と胃上皮細胞へ分化させる上で必要十分な機能を有することが報告された。またIrx3およびIrx5は標的因子の発現において協調的に機能するという結果が相次いで報告され、Id2ノックアウトマウスにおけるSox2の発現もIrx3とIrx5が協調的機能している事が予想された。そこでvil-Irx3マウスが確認された後にIrx3とIrx5が同時に小腸において異所性発現するマウスを作出し、Sox2の発現について検討する。 (計画2) Id2によるIrx3とIrx5の転写調節領域を同定するにあたり、ゲノムブラウザをはじめとする各種データベースを用いてIrx3-Irx5遺伝子座間(約0.55Mbp)及びその近傍の配列中に生物種種間で保存されている領域を検討したところ、その数はおよそ100カ所に及んだ。現在、候補領域として検出された配列について、初代胎仔胃および小腸上皮培養を用いて組織特異的な発現制御領域の同定を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(計画1)に関して、vil-Irx3トランスジェニックマウスが予想よりも作製効率が低いことが判明したが、改善可能な範囲内と考えられ、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に従い、(計画1)については、これまでに引き続きトランスジェニックマウスの作出を進める。また、研究計画立案当初に予定していた転写因子Sox2異所性発現マウスの作出は、他研究グループによってなされたのでこれを一部変更し、前腸内胚葉領域におけるSox2の発現誘導へのIrx3およびIrx5の関与について解析を行う。(計画2)については、Irx3とIrx5の転写調節領域として予想された複数のゲノムDNA配列について、実際にId2により制御を受けるかどうかを初代胎仔消化管上皮細胞の培養系を用いて検討する。(計画3)については、胎仔小腸におけるId2の発現誘導因子として予想される骨形成因子(BMP)について検討するため、初代胎仔消化管上皮細胞へのBMPシグナルの阻害剤添加と活性化型BMPレセプターの遺伝子導入により、Id2の発現が変化するかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は設備備品の購入は計画しておらず、消耗品費、旅費および人件費・謝金に使用する。
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