研究課題/領域番号 |
24790196
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
藤永 竜太郎 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30335723)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | HAP1 / stigmoid body / 細胞分裂 / ストレス |
研究概要 |
GFP-HAP1安定発現HeLa細胞を用いて、細胞周期各ステージにおけるHAP1の細胞内局在を免疫蛍光染色により解析した。間期ではHAP1は細胞質内でstigmoid bodyを形成していたが、分裂期に入るとstigmoid bodyは消失しHAP1は細胞内にdiffuseに発現していると共に紡錘極に集積している様子が観察された。動画解析により上述した像が連続的に観察され、また娘細胞内で再びHAP1がstigmoid bodyを形成する様子が確認された。分裂期と間期の長さを動画撮影により計測した。GFP安定発現HeLa細胞(コントロール)とGFP-HAP1安定発現HeLa細胞の比較を行ったが(少なくとも50細胞)現在のところHAP1発現細胞でもコントロールと同様の長さでありHAP1が細胞分裂に影響を与えているかどうかを示す証拠は得られていない。予想したような顕著な差が観察できない可能性もあるが、いくつかのアプローチが必要である。HAP1発現細胞のストレス処理のスクリーニングを開始した。熱ショック(HSP70の発現上昇を確認)、小胞体ストレス(CHOPの発現上昇を確認)、低酸素ストレス(HIF1の蓄積を確認)、プロテアソーム阻害(ユビキチンの蓄積を確認)によりHAP1の発現形態変化を観察したところ、プロテアソーム阻害(MG132とラクタシスチン)によりHAP1はSTB形成から顆粒網状構造形成に変化した。また、この変化は細胞特異性があることが分かった。GFP-HAP1を用いて動画撮影により変化の様子が確認された。内因性HAP1発現細胞を用いて細胞分裂やストレス処理とHAP1の関係を解析するために現在、細胞株をスクリーニング中である。今後の研究によりHAP1及びSTBと細胞周期やストレスといった細胞現象との新たな接点が明らかになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞周期進行に伴うHAP1の細胞内局在変化を蛍光免疫染色と動画解析により確認できた。HAP1が細胞周期(細胞分裂)に影響を与えるかどうかに関しての結果はやや期待と異なるものであったが、計画書に記載した、研究が計画通りに進まなかった場合の方針に従い形態学的なデータを中心にアプローチした。ストレス処理のスクリーニングも開始して、次年度につながる結果を得ることができた。全体としては計画書通り順調に進行しておりHAP1研究の新たな展開が可能と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
細胞周期制御に関しては、ダブルチミジンブロックやフローサイトメトリー解析を加えて解析の精度を上げ、結論を導く。ストレス応答実験では、HAP1の発現形態制御がプロテアソーム活性と関連していることが明らかになってきたのでそのメカニズムを解析する。具体的には細胞内オルガネラとの関連やユビキチン化蛋白との関連、過去に報告されているHAP1結合因子との関連を免疫染色、動画解析、免疫沈降などの生化学的解析を用いて行う。さらにプロテアソーム活性低下による細胞死に対するHAP1の影響を調べる。内因性HAP1細胞を見出すことができれば、ノックダウン実験も加えてプロテアソーム活性制御、HAP1形態制御、細胞死制御の3者の細胞内リンクを明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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