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2012 年度 実施状況報告書

制御性T細胞誘導機構の免疫組織学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 24790200
研究機関獨協医科大学

研究代表者

北沢 祐介  獨協医科大学, 医学部, 助教 (00467581)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード制御性T細胞 / ethynyl deoxyuridine / 細胞増殖 / 移植免疫応答 / ドナー特異的輸血 / フェノタイプ解析 / 多重免疫染色 / 細胞間相互作用
研究概要

目的)ドナー特異的輸血(DST)療法によるinducible regulatory T-cell (iTreg) 誘導のメカニズムをin vivo組織切片レベルとin vitroフローサイトメトリーにより、定性的かつ定量的に解明することである。
方法)ACI(RT1AaBa)ラットのヘパリン加新鮮血2mlをLewis(RT1AlBl)ラットに静脈投与し、経時的にリンパ臓器を採取して新鮮凍結切片を作製した。脾臓に関しては、一部をコラゲナーゼ処理によってリンパ球を分離し、フローサイトメトリーによる定量解析を行った。また、採取1時間前に同mol数のBrdUとEdUの混合液を静脈投与し、増殖細胞を標識した。
結果と考察)脾臓切片を従来の酵素抗体3重染色法で(ドナーMHC抗原、CD抗原もしくはFoxP3 +IV型collagen +BrdU)免疫染色すると、DST処置後数時間で、多数のドナー細胞(RT1Aa+)が白脾髄のT細胞領域(PALS)に遊走し、そこで、3日目をピークにCD4+ T細胞とTregの増殖応答を示した。ドナー血液はDCをほとんど含まないので、宿主DCがPALSで遊走してきたドナー細胞を貪食して、ドナーMHC抗原を宿主T細胞に提示する、いわゆるindirect pathwayによって抗ドナーT細胞応答を誘発したことが示唆される。さらに、同一切片で蛍光抗体3重染色(CD抗原、FoxP3、IV型collagen)にEdU蛍光染色を含めた4重蛍光観察を行ったところ、各細胞の増殖応答は、BrdU解析結果と同様の細胞動態を示し、世界初で、増殖するTreg細胞のフェノタイプ(FoxP3+CD25+またはFoxP3+CD4+)まで確認できた。フローサイトメトリー解析では、同様に世界初で経時的にFoxP3+細胞の増殖応答を定量化することに成功し、切片上の解析結果と相関した細胞動態を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度、新たな解析ツールであるEdUを用いた免疫応答の解析法を確立したことは、iTreg誘導メカニズムを解明するための大きな第一歩である。増殖指標であるBrdUの免疫染色には酸や加熱等のDNA開環処理が必要で、それが蛍光多重染色を阻害するため、これまで増殖するiTregのフェノタイプ解析や樹状細胞 (DC)とのクラスター形成の解析は極めて困難であった。今回、cell cycle研究に使われ、開環処理が不要なthymidine analogueのEdU (ethynyl deoxyuridine)検出法を応用して、増殖細胞を検出可能な多重蛍光染色法を新たに開発した。これにより、iTregの増殖応答に関する組織および細胞レベルの並行解析を世界で初めて行ったことになる。
具体的には、iTreg細胞の組織内分布、各種免疫細胞との位置関係や臓器あたりの定量化解析が可能となり、iTreg細胞の誘導メカニズムの一部を解明することができた。現在、EdUを取り入れた多重免疫染色法を新たな免疫応答の解析ツールとして提案するために、従来のBrdU解析との相関性を証明する論文を作成中である。DST療法により誘導されたiTreg細胞の抑制機能については、研究者間で定義が分かれており、学会や論文から正確な情報収集を行いながら、予定通り次年度に解析したいと考えている。次年度の研究計画(ドナー血液成分のiTreg誘導)の一部は、すでに本年度にて研究を行っており、かなりの成果が見込まれている。さらにEdUを含めた4重以上の蛍光多重免疫組織染色は、Treg誘導にかかわらず細胞間相互作用(クラスタリング)を形態学的に解析する上で重要な解析ツールとなり、次年度の研究に飛躍的に貢献できるといえる。

今後の研究の推進方策

次年度は、研究実施計画通り進行する予定である。なお前述のとおり、本研究内容を総括するために、新規性にあたる「EdUを用いた免疫応答の解析法」については先行して論文作成を行い、研究成果の先行を押さえるための準備を行っている。本年度の未達成であるiTreg細胞の機能解析については、情報収集を高め、信憑性のある結論を導きたいと考えている。また、今回の研究成果においてEdUを用いた解析方法の確立が、iTreg誘導メカニズムの解明だけでなく、免疫分野における研究推進が図れる研究方法として大きく貢献できると確信し、次年度のみならず再来年度においても何らかの研究費にて継続を計りたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費においては、一部研究内容が前後しているが特に問題なく当初の計画通りに使用していくことを前提としている。本年度は研究期間の初年度にあたり計画遂行のための初期投資額が大きかったが、次年度は初期投資や基盤的な研究を遂行するための経費が大きく削減されるので予定通りであれば予算の範囲内で目的に達成できると考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Single transfusion of allogeneic T-cell induces spleen-dependent regulatory T cell production.2012

    • 著者名/発表者名
      北沢 祐介
    • 学会等名
      DC2012(第12回国際樹状細胞学会)
    • 発表場所
      韓国/大邸
    • 年月日
      20121007-20121011

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公開日: 2014-07-24  

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