研究課題/領域番号 |
24790201
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
鈴木 ちぐれ 順天堂大学, 医学部, 助教 (40536629)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 虚血再灌流傷害 / 腎尿細管上皮 / カテプシンD / オートファジー / リソソームプロテアーゼ / 形態学 |
研究概要 |
腎虚血再灌流(I/R)傷害は腎移植において重要な課題である。尿細管上皮へのI/R障害にはオートファジー(AP)/リソソーム系の関与が報告されているが、傷害時のAPやリソソームプロテアーゼ(LP)については不明な点が多い。腎虚血再灌流(IR)傷害の分子機構を明らかにするため、今回、プロテアーゼ阻害剤投与や代表的なリソゾームタンパク質分解酵素であるカテプシンB(CB)、L(CL)欠損マウス、および皮髄境界部の近位尿細管特異的カテプシンD欠損(CDKO)マウスを用いて、腎I/R傷害を解析した。I/R負荷後、近位尿細管上皮細胞(RPTEC)にAPの誘導と、CD活性の増強が認められた。I/R負荷時にプロテアーゼ阻害剤を用いてシステインおよびアスパラギン酸系LP活性を抑制したところ、3日後の腎傷害は有意に抑制された。RPTEC-CDKOマウスの皮髄境界部上皮細胞を電顕的に観察すると、オートファゴソーム(AV)を始め、fingerprint像(FP)や輪状に集積した小胞構造(LER)が認められ、LERの中央部にはしばしばAVが見られた。このマウスにI/R負荷をかけると、皮髄境界部のRPTECにはAV、FP、LERが増加し、特に、細胞死の形態を示す細胞では細胞質全域がこれら構造物に占められ、野生型に比べ有意に傷害の程度が高いことが分かった。以上の結果より、腎I/R傷害は尿細管上皮に誘導されるAPの強さに依存すること、またその下流にあるリソソームプロテアーゼも関与することが示唆された
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リソソームプロテアソーゼの抑制が腎I/R傷害を悪化させ、APの強さが関わっていることが明らかとなった。これらの結果を、第6回オートファジーシンポジウム、第118回日本解剖学会にて発表した。また、現在、論文作成に着手しており近々投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、atg9やatg7などのオートファジー関連遺伝子を尿細管特異的に欠損させたマウスの作成に取り組みAP抑制が腎I/R傷害に与える影響の分子レベルでのより詳細な解明を行っていく予定である
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次年度の研究費の使用計画 |
(次年度の研究費の使用計画) コンディショナルノックアウトマウスの作成、維持に必要な試薬、プラスチック器具の購入。国内外の学会、研究会での発表のための旅費。マウスの血液検査、尿検査の外部委託、電顕写真の現像、焼き付けに必要な代金。論文投稿料、印刷費、外国語論文の校閲費として計上した
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