研究課題/領域番号 |
24790207
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坪井 貴司 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80415231)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 開口放出 / アストロサイト / ATP / 細胞内小器官 / イメージング |
研究概要 |
アストロサイトは、細胞内カルシウム濃度上昇依存的に、ATPやグルタミン酸などの神経伝達物質を放出する。アストロサイトが放出する情報伝達物質の中でもATPの放出量の低下は、神経活動の抑制機能低下を招き、てんかん様の異常神経過興奮や睡眠障害を引き起こす。しかし、細胞内カルシウム濃度上昇依存的に起こるアストロサイトからのATP放出メカニズムは、重要な動作原理であるにも関わらず、未解明のままである。本年度は、マウス大脳皮質からアストロサイトを単離培養し、分泌顆粒内にATPを輸送する分子であるヌクレオチドトランスポーターに緑色蛍光タンパク質を融合させた遺伝子(GFP-vNut)をこの単離培養アストロサイトに導入し、その細胞内局在を解析した。GFP-vNutは、直径約500nm程度の蛍光輝点として細胞質全体に局在した。ATP含有小胞を染色できるキナクリンやMANT-ATPを用いて単離培養アストロサイトを蛍光染色したところ、GFP-vNutと共局在を示すことがわかった。このGFP-vNutは、ペプチドホルモン含有顆粒やシナプス様小胞ともごく一部共局在を示したが、ほとんどのものは、リソソームと共局在を示すことがわかった。単離アストロサイトをグルタミン酸やカルシウムイオノフォアで刺激した際の、GFP-vNutの細胞内での動態を解析した。その結果、カルシウムイオノフォア刺激により、ごく一部のGFP-vNutが細胞膜と融合することがわかった。今後は、GFP-vNutを細胞膜と融合させる分子群の同定を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画通り、初代培養アストロサイト実験系の確立およびATP放出に関与する細胞内小器官の同定において、一定の研究成果を挙げているので、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
カルシウムイオノフォア刺激により、ごく一部のGFP-vNutが細胞膜と融合することがわかった。今後は、カルシウムイオノフォア刺激により起こると考えられるアストロサイトからATP放出をルシフェリン・ルシフェラーゼアッセイにより解析する。また、GFP-vNutを細胞膜と融合させる分子群をRT-PCR、イムノブロッティング、蛍光免疫染色法、そして生細胞イメージング解析によって同定を目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
消耗品(細胞培養用試薬、遺伝子導入用試薬、siRNA、抗体等)の購入を計画しています。
|