膵β細胞から分泌されるインスリンは血糖値の恒常性維持を担う重要なホルモンである。腸管ホルモン、glucagon-like peptide-1 (GLP-1) は、インスリン分泌を相乗的に増強するが、その経路には細胞膜および細胞内の多くの要素が複雑に関与しており、総合的なメカニズムの解明は依然として困難である。本研究は、これまで膨大に蓄積された医学生物学研究成果を数理細胞モデルに組み込み、細胞機能をコンピュータ上に再現させた。また、シミュレーション実験や数値解析を行い、GLP-1による活動電位や細胞内Ca2+動態の変動に関与する細胞内各要素の役割とその寄与の大きさを定量的・総合的に解析した。
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