研究課題
本研究ではeEF1BδLの選択的スプライシングの制御機構とポリグルタミン病での役割を明らかにすることを目的として研究を遂行した。◯ 平成25年度(最終年度)の研究成果① スプライシング調節因子の同定:Fox、Nova、Mbnlなどのスプライシング調節因子の発現ベクターによりHEK293細胞にそれぞれ強制発現させRT-PCR法によりeEF1Bδ遺伝子のスプライシング変化を解析したところ、どの調節因子の発現系でもスプライシングは変動しなかった。現在までに約40のスプライシング調節因子がわかっているが、今後は全ての遺伝子のノックダウン系を用いて網羅的に解析する必要がある。② 前脳特異的eEF1BδL欠損マウス:CAG-Creとの交配により全身の欠損マウスは正常に生まれることがわかっている。そのため、本マウスについてその表現系を行動学的に解析したところ、8方向放射状迷路において欠損マウスは野生型マウスより作業効率が有意に劣ることがわかった。③ ポリグルタミン蛋白質凝集:eEF1BδLをノックダウンしたHEK293細胞において82Q-GFPを強制発現させ、蛋白質凝集を比較したところ影響は見られなかった。また82Q-GFPの蛋白質凝集はeEF1Bδ遺伝子のスプライシングにも影響しなかった。◯ 研究期間全体の研究成果① eEF1BδLはマウスの学習・記憶機能に関与することが示唆された。②eEF1BδLはポリグルタミン蛋白質凝集にさほど影響しないことが示唆された。③ 熱ストレスに応答してeEF1BδLと結合する核内蛋白質を見いだした。④ eEF1BδLは脱リン酸化によりその転写活性が制御されることを見いだした。本研究はeEF1BδLは成体での学習・記憶を制御する可能性を示唆し、さらに認知性疾患におけるeEF1BδLを標的とした治療法の開発に繋がる可能性がある。
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Stem Cells Translational Medicine
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