研究課題
求心性迷走神経は様々な末梢因子を受容してその神経情報を延髄孤束核へ伝達し、最終的に摂食量を調節する。求心性迷走神経は保有神経伝達物質、支配臓器が様々なヘテロな神経集団で有り、どの求心性迷走神経がどの末梢因子を受容し、その神経情報をどのような神経伝達物質を介して延髄孤束核に伝達して摂食を調節しているか、全く不明である。平成25年度はまず、食後膵ホルモンのインスリンが膵臓を支配する求心性迷走神経を直接活性化する事を見出し、論文発表した(PLoS One, 2013, 8(6), e67198) 。胃ホルモンのグレリンは空腹時に高値となり、迷走神経求心路を介して摂食量を亢進させることが知られている。しかし、グレリンの求心性迷走神経への直接作用は明らかでない。本研究では、マウスより単離した単一求心性迷走神経に対してグレリンが直接作用し、細胞内カルシウム濃度を増加させることを発見した。さらに、グレリン応答ニューロンは、満腹感を誘導する末梢ホルモン(コレシストキニン、オキシトシン)には応答しなかった。従って、空腹ホルモングレリンは満腹ホルモンが作用する求心性迷走神経とは異なるニューロンに作用することが明らかとなった。さらに、求心性迷走神経には摂食亢進性と摂食抑制性の2つのニューロン種が存在し、異なる神経伝達物質を延髄孤束核へ伝達することで摂食量を調節している可能性が示唆された。摂食量を調節する求心性迷走神経内神経伝達物質を同定するために、満腹時(自由給餌条件での明期前半)と空腹時(一晩絶食後の明期前半)におけるマウス求心性迷走神経節(nodose ganglion)での遺伝子発現量を、DNAマクロアレーにて解析した。絶食によって発現変動比が2倍以上に減少した遺伝子を6個、上昇した遺伝子を6個、同定した。今後、これら遺伝子関連物質が延髄孤束核を介して摂食を調節しているのか検討する予定である。
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http://www.jichi.ac.jp/physio2/physiol_new_HP2008/shoukai/yiwasaki.html
http://rseeds.jichi.ac.jp/research_seeds/public/ResearchResultDetail.php?publicId=6eyq6cvs29v0a8twx9pdupgv9p2omm&resultCd=1§ionCd=21