研究課題
本研究は、V1aR KOマウスの水電解質調節能について解析を行った。V1aR KOマウスの標準飼育下における血漿のpH、電解質濃度、浸透圧、血漿VP濃度の値は、WTマウスと比べて有意な差はなかったが、尿浸透圧は有意に低かった。水電解質調節分子である腎集合管のAQP2発現量は、V1aR KOマウスで有意に低下しており、集合管管腔膜上のAQP2も少なかった。また、集合管主細胞のV2R mRNAの発現量も、V1aR KOマウスにおいて有意に少なかった。次に、V1aR KOマウスを24時間絶水し、尿濃縮能を解析した。絶水後、V1aR KOマウスの血漿浸透圧、血漿VP濃度の値は、WTマウスより有意に高かった。また、尿浸透圧の値は、WTマウスより有意に低かった。この時の集合管AQP2は、絶水によりWT、V1aR KOマウス共に管腔膜側へ移行していたが、V1aR KOマウスのAQP2発現量はWTより少なかった。また、V2R mRNA発現量は、WTマウスでは増加していたが、V1aR KOマウスでは増加していなかった。V1aR KOマウスは、水電解質調節分子AQP2、V2Rの発現量が少なく、尿濃縮能が低下していることが明らかになった。さらに、代謝性アシドーシス時の尿濃縮能低下について、V1aRシグナルの関与を調べた。実験的アシドーシス誘導後、WTマウスのAQP2、V2R発現量は増加したが、AQP2は細胞質内に限局した。V1aR KOマウスではAQP2、V2R発現量は低下し、AQP2は管腔膜に局在した。V1aRシグナルは、V2Rの発現量、AQP2の管腔膜から細胞質への移行に影響すると考えられた。V1aRは集合管主細胞ではなく間在細胞に発現しているが、主細胞のV2R、AQP2の基礎的発現量維持に寄与し、AQP2の管腔膜から細胞質への移行に関与することが明らかになった。
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Clin Exp Nephrol
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