• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

膵臓外分泌細胞に存在する陰イオンチャネル蛋白の構造機能協関

研究課題

研究課題/領域番号 24790226
研究種目

若手研究(B)

研究機関関西医科大学

研究代表者

林 美樹夫  関西医科大学, 医学部, 助教 (10368251)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード生理学 / イオンチャネル / 膵臓
研究概要

上皮細胞における重炭酸イオン輸送を担うイオンチャネルの生理機能と分子基盤を明らかにするため、膵臓由来株化細胞に存在する陰イオン輸送体の電気生理学的同定を試みた。
まず膵臓由来株化細胞(Capan-1)の単層上皮標本を作製した。そしてUssingチャンバー法を用いて、Capan-1細胞の単層上皮における経上皮膜電流を測定した。管腔側のATPまたはアデノシンは経上皮膜電流を増加させた。非選択的陰イオンチャネル遮断薬のNPPBまたは、Ca依存性Clチャネル遮断薬のニフルミン酸、cAMP依存性Clチャネル(CFTR)抑制薬のCFTR(inh)-172は、アデノシン作動性電流を減少させた。また、アデノシンA2A受容体はラット膵臓導管細胞とCapan-1細胞の管腔側膜に局在することを免疫組織学的に認めた。
以上の結果は、アデノシンが管腔側膜に存在するA2A受容体を介して膵臓導管細胞の経上皮膜イオン輸送を制御することを示唆する。また、アデノシンは炎症性疾患、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、神経変性疾患などに広く関与することから、アデノシンA2A受容体が膵炎や膵癌などの膵臓病の進行に中心的な役割を果たす可能性がある。
今後は、膵臓導管新鮮分離標本における陰イオン輸送体の電気生理学的同定を試みる。その実験に必要となる導管微小灌流システムは既に構築してある。そして、パッチクランプ法を用いて、導管細胞における陰イオン電流の測定は実施している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

膵臓導管細胞において、A2A受容体を介した起電性の経上皮陰イオン輸送を明らかにした。この経上皮膜電流測定の実験系を確立したことで、導管細胞における経上皮電流を担うイオン輸送体の電気生理学的同定が可能となった。そして既に、パッチクランプ法を用いた予備実験を実施しており、本研究を推進することでイオンチャネルの機能的同定が見込める。

今後の研究の推進方策

1、パッチクランプ法を用いて、膵臓または腎臓由来株化細胞のホールセル電流を測定する。陰イオンコンダクタンスのイオン選択性および電位依存性を解析し、重炭酸イオンコンダクタンスを電気生理学的および薬理学的に同定する。
2、セルアタッチ法およびインサイドアウト法における単一チャネル電流を測定する。単一チャネルコンダクタンスのイオン選択性およびゲーティング特性を解析する。
3、ラットまたはモルモットの膵臓導管新鮮分離標本を作製し、ホールセル電流を測定する。生物物理学的性質および薬理学的性質を解析し、1で同定した重炭酸イオンコンダクタンスの性質と比較検討する。
4、ラットまたはモルモットの膵臓をパラホルムアルデヒドを用いて灌流固定し、パラフィン切片を作製する。膵臓導管細胞に特異的な抗体を用いて免疫染色し、膵臓導管細胞を同定する。必要に応じて、ヒト膵臓由来株化細胞を用いる。

次年度の研究費の使用計画

次年度に24,737円を繰り越して使用する。予定よりも少ない実験動物を用いて効率よく実験を遂行できたため、当該研究費が生じた。消耗品費(実験動物)に充当する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Adenosine receptors regulate Cl- channels in pancreatic duct cells.

    • 著者名/発表者名
      Inagaki A, Hayashi M, Matsuda H
    • 学会等名
      第90回日本生理学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京)

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi