本研究は、内分泌細胞のホルモン分泌機構におけるTASK1チャネルの機能および生理的意義の解明を最終目的としている。本研究課題までに、1)TASK1チャネル蛋白質が、様々なほ乳類の副腎髄質に発現していること、2)ラット副腎髄質細胞においてTASK1チャネルが、pH依存的にカテコールアミン分泌調節に関与することを明らかにした。 本研究課題では、さらにTASK1チャネルの機能調節機構について詳細に解析した。PC12細胞をNGF処理により神経様に形質転換させた際、1)TASK1チャネルが、ジロイシンモチーフ(Leu263/364)を介したクラスリン依存性エンドサイトーシスによって細胞膜から細胞質へと移行すること、2)長期間処理では、遺伝子およびタンパク質レベルで発現が抑制されていること、3)TASK3チャネルは刺激前後で細胞膜局在のままであることを見いだした。さらに、TASK1チャネルエンドサイトーシスの制御には、PI3K、PLCγ、PKCの活性化、 Src tyrosine kinasesの活性化及び相互作用が関与することを示唆した。 以上の結果より、TASK1チャネルは、蛋白質レベルでの制御(recycling and/or degradation pathways)および遺伝子レベルでの発現抑制により機能調節されていることが示唆された。
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