• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

バソプレシンニューロンに発現する高浸透圧センサーの同定と生理的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24790229
研究種目

若手研究(B)

研究機関生理学研究所

研究代表者

佐藤 かお理  生理学研究所, 細胞器官研究系, NIPSリサーチフェロー (60614196)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード浸透圧センサー / バソプレシン / カチオンチャネル
研究概要

平成24年度は主にホールセルパッチクランプ法を用いて、視索上核より単離したバソプレシンニューロンに発現していて高浸透圧条件下で興奮性を高める原因とされている高浸透センサーとしてのカチオン性チャネルの同定を試みた。
1.これまでの予備実験でカルシウムチャネル様電流が記録できたが、すぐにそれはランダウンした。様々な試薬を用いた結果、電極内液にロイペプチンを用いるとこれまでどうしても抑えられなかったこのランダウン現象を抑え、安定した電流が記録できる事がわかった。
2.電極内液にロイペプチンを入れてランダウンを阻止した上で高浸透圧条件下におけるカルシウムチャネル活性の変化を観察した結果、電流は高浸透圧条件下において変化が見られなかった。この結果から、高浸透圧センサーカチオン性チャネルはカルシウムチャネルではないことが示唆された。
3.ニスタチン穿孔パッチクランプ法による電流固定法を用いて、高浸透圧条件下におけるバソプレシンニューロンの膜電位及び発火活動における変化を観察した。私たちのこれまでの研究により、膜電位及び発火活動は低浸透圧条件下では変化しない事が明らかになったが、高浸透圧条件下においても、他のグループが報告した結果とは異なり、変化が見られなかった。この結果から、高浸透圧条件下における脳下垂体後葉からのバソプレシン分泌亢進メカニズムに、そのようなカチオンチャネルが存在するのかどうかを含めて、根本的に再検討する必要性があることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

24年度の研究実施計画における一番の目的は、「高浸透圧条件下で活性化する安定したカチオン電流を再現する方法の確立」であった。当初用いる予定であった穿孔パッチ法では、多種多様な電流が混在してしまい、この実験系に適応できない事がわかり、危機的な状況に至ったが、様々な試薬を片っ端から試すことによって、時間は予想以上に費やしたがやっと安定した電流を記録する方法を確立する事が出来た。この成果は今後この研究課題を遂行するにあたって非常に大きいものである。この方法を用いての高浸透圧条件下で活性化するカチオンチャネルの同定までは駒を進めることができなかったが、安定する電流記録法の確立により、今後の研究のスピードが飛躍的に速くなる事が期待できる。よって概ね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

平成24年度の実施計画にあった、高浸透圧条件下で活性化するカチオンチャネルの同定については、まだそのための条件を得た段階であるので、平成25年度においても引き続き検討していく。その他の内容については、当初の予定通りに行う計画である。

次年度の研究費の使用計画

耐震工事による実験室の引越しに伴い、予想以上に実験を中断せざるを得ない期間が長くなってしまった事、更に、耐震工事に伴った実験室の分離による必要物品の補充のために充てた予算が、他のラボの機器を使わせてもらう事が出来た事により購入する必要がなくなったため、次年度への繰越額が生じた。
次年度は、動物の飼育費、及び実験に必要な試薬の購入を中心に研究費を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Study on the hypoosmolarity sensing mechanism in arginine-vasopressin neurons: Reexamination on the taurine hypothesis2013

    • 著者名/発表者名
      Kaori Sato-Numata, Yoichi Ueta and Yasunobu Okada
    • 学会等名
      第90回日本生理学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都江戸川区)
    • 年月日
      20130327-20130329

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi