研究課題/領域番号 |
24790229
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 かお理 生理学研究所, 細胞器官研究系, NIPSリサーチフェロー (60614196)
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キーワード | 浸透圧センサー / バソプレシン分泌 / 容積調節能 |
研究概要 |
平成25年度は、以下の2点について研究を遂行した。 1)平成24年度の研究で明らかになった高浸透圧条件下におけるAVP分泌メカニズムの再検討の必要性 平成24年度の実験より、AVPニューロンの発火頻度が高浸透圧刺激で変化しない結果が得られた。そこでまず、AVPニューロンの細胞体・樹状突起から分泌されるAVP量についてELISA法を用いて実験した。その結果、AVPニューロンの細胞体・樹状突起からのAVP分泌量は高浸透圧刺激によって増大する事が確認された。この効果は、驚くべきことに、私が探し求めている高浸透圧センサーカチオンチャネルにおいてこれまで実験で明らかになったブロッカーによって抑制されることが明らかになった。これらの結果から、高浸透圧条件下においてAVPニューロンの容積が縮小したまま回復しないことの生理的メカニズムにAVP分泌が関与している可能性が示唆された。 2)高浸透圧センサーカチオンチャネルの同定 これまでのパッチクランプ法を用いた実験で、測定されるカチオン電流がニッケルによって抑制される結果を得ている。そこで、断面積測定法を用いて高浸透圧条件下におけるAVPニューロンの細胞容積の変化にニッケルが影響を及ぼすか検証した。その結果、ニッケルによって細胞容積が回復する事が確認された。この事から、高浸透圧センサーカチオンチャネルは、ニッケルにも感受性がある事が示唆され、候補膜タンパク質をさらに絞り込むことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度は、6月から10月まで産前・産後休暇及び育児休暇による長期休暇を頂いていたため、研究を中断せざるを得なくなった。更に、子供の入院による付添いのため、断続的な実験の中断を余儀なくされたため、申請書に当初記載していた実験計画の遂行が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、殆んど遂行できなかった平成25年度の研究計画を平成26年度の研究計画として遂行する。 そのために、高浸透圧センサーカチオンチャネルの分子同定を急いで行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の6月から10月までの5か月間、産前・産後休暇及び育児休暇による長期休暇を頂いており、その間、研究の中断を余儀なくされた。また、復帰後も、子供の入院の付添いのため、断続的に研究を中断せざるを得なかった。そのため、中断期間中に使用する予定であった飼育費や試薬の購入費が未使用になってしまった。 平成25年度に行う予定であった、高浸透圧センサーカチオンチャネルの同定、及び、高浸透圧刺激による浸透圧性細胞縮小後に容積が回復しない生理的意義を、AVP分泌との関係を含めて解明する、という研究計画を遂行するため、研究に必要な動物の飼育や試薬の購入を中心に未使用額を使用したい。また、研究に必要な動物の飼育を担当する人を雇用するための人件費としても使用したい。
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