研究課題
脊髄小脳変性症13型を引き起こす変異型Kv3.3が小脳神経細胞に与える影響を明らかにするため、細胞内Ca2+イメージング法,薬理実験により以下の事を明らかにした。(1) 変異型Kv3.3を発現する培養小脳プルキンエ細胞が、活動電位の持続時間延長を示すことを前年度に発見した.これが細胞内Ca2+濃度に影響を与えるか否かを,カルシウム感受性色素Fura2を用いて検討した.その結果,コントールと比較して変異型を発現しているプルキンエ細胞では約4倍(平均100nM)という高い細胞内Ca2+濃度を示す事が分かった.(2) 最後に,この高い細胞内Ca2+濃度を是正する事で,変異型発現プルキンエ細胞で生じる形態変化などを抑制出来るか否かを薬理実験により検討した.プルキンエ細胞が主に発現するP/QタイプCaチャネルに対する選択的阻害剤,omega-agatoxinIVAを培養2日目の遺伝子導入後小脳初代培養に終濃度200nMになるように添加して培養を行った.その結果,阻害剤により培養14日において形態変化の回復が見られた.すなわち,阻害剤存在下での培養により,樹状突起の成長に有意な回復が認められた.この事から,変異型Kv3.3の発現がプルキンエ細胞の形態変化と発達不全を引き起こす原因は,P/Q型Caチャネルの過剰な活性化と,これによる細胞内Ca2+濃度の異常亢進である事が分かった.
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