研究課題/領域番号 |
24790231
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
古林 創史 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (50511531)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | カルシウム結合蛋白質 / 細胞内シグナル伝達 / 心筋細胞 / 心肥大 |
研究概要 |
「病的心肥大」は、心筋梗塞や心不全などのリスクファクターの一つであるが、その形成メカニズムは未だ不明である。近年、心筋肥大の形成メカニズムについて盛んに研究がなされており、その中でもAkt/glycogen synthase kinase 3β (GSK3β)シグナルは心肥大形成を促進させる非常に重要な細胞内シグナルの一つである。我々は心筋細胞にほぼ特異的に発現するカルシウム結合蛋白質calcineurin B homologous protein 3 (CHP3)に着目し、これまでにCHP3をノックダウンさせた心筋細胞では細胞サイズが増大し、心肥大マーカーの発現レベルが増強することを見出してきた。本研究では、その心筋細胞においてAkt/GSK3βシグナルが活性化している可能性を両蛋白質のリン酸化解析を用いて新たに見出した。また、co-ip法およびプルダウン法の結果より、CHP3はAktおよびGSK3βと間接的に結合する可能性が考えられた。さらに、Akt/GSK3βシグナルはインスリンや細胞増殖因子などによって活性化されるが、CHP3を高発現させた繊維芽細胞ではその活性化がコントロールに比べ抑制された。以上よりCHP3は心臓特異的にAkt/GSK3βシグナルを調節することで心肥大形成に関わる可能性が示唆された。現在CHP3ノックアウトマウスを作製中であり、その前段階となるキメラマウスまで完成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究の中でも細胞実験についてはほぼ予定通りの進展があった。細胞実験に関しては当初の計画を発展させるため、新たにCHP3を恒常的に高発現させた細胞を作製しており、CHP3の細胞内における役割の解明に一歩近づけた。ただ、ノックアウトマウスの作製期間が若干伸びているため、動物を用いた研究は次年度行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、現在作製中であるCHP3ノックアウトマウスを用いた実験を行う。心機能を中心に個体および細胞レベルで表現型を解析することで、CHP3の役割をさらに明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
CHP3ノックアウトマウスの作製が次年度にずれ込んだため、本年度動物実験に使用予定だった研究費を次年度に繰り越す。次年度も本年度同様、研究スピードと効率を上げるために、研究費の大半は実験試薬および実験動物の購入に使用する。
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