バルプロ酸(VPA)は、抗てんかん薬として広く用いられている。近年、iPS細胞の作製効率を100倍以上上昇させること、神経幹細胞移植時に脊髄損傷マウスの治癒を促進することが報告されている。我々は、分裂酵母モデル生物を用いて、分子遺伝学的研究を進め、以下の結果を得た。分裂酵母のノックアウトライブラリーを用いてゲノムワイドスクリーニングを行い、多数のVPA超感受性株を同定した。これらの感受性遺伝子は細胞内輸送、シグナル伝達、クロマチンリモデリングなどの生命現象に関わっている。興味深いことにVPA超感受性株の多くはHDAC阻害薬である酪酸に感受性を示さなかった(Zhang et al. 2013)。
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