研究課題/領域番号 |
24790258
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中川 慎介 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (10404211)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 血液脳関門 / ペリサイト / 虚血再還流 / 高血糖 / Neurovascular unit |
研究概要 |
血液脳関門(Blood-brain barrier, BBB)は、脳毛細血管内皮細胞、ペリサイトおよびアストロサイトの相互作用によって機能が維持されており、その機能不全は神経細胞障害の惹起と憎悪に関与していると考えられる。病態時において、BBB の機能維持(BBB保護)は、脳保護(神経細胞保護)に繋がると考えられる。BBB 機能維持機構における、BBB構成細胞間でのクロストーク因子を解析することは、脳保護薬の開発に重要で、基盤的な情報を提供できる。 我々は、BBB機能維持において、BBBを構成している細胞間のクロストークが重要であるとの考えから、BBB構成細胞を用いた in vitro BBB 再構成モデルの開発を行ってきた。本モデルは BBB を構成する脳毛細血管内皮細胞、ペリサイトおよびアストロサイトの3種理の細胞を共培養したモデルである。本研究では、この共培養モデルと内皮細胞の単層培養系に、虚血再潅流または、高血糖の負荷をかけ、内皮細胞障害に対するペリサイト及びアストロサイトの関与について検討した。虚血再還流障害モデルでは、内皮細胞の単層培養系に比べ共培養モデルの方が、BBBのバリアー機能低下が顕著であった。ペリサイトおよびアストロサイト由来の液性因子が、虚血再還流負荷による内皮細胞障害を増悪させているものと考えられた。高血糖の負荷モデルでは、高血糖群(25mM)と正常血糖群(5.5mM)では、正常血糖群において、BBBのバリアー機能低下が観察された。BBBのバリアー機能評価として用いている経内皮電気抵抗(TEER)は、培養皿の細胞密度にも影響されるため、グルコース濃度の変化による細胞増殖に影響が出ない条件設定が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H24年度の研究実施計画として挙げていた一過性虚血再潅流負荷モデルの作製およびその機能評価は順調に進んでいる。一方、糖尿病性病態モデルの作製では、高血糖を付加しても十分な障害がみられず、作製が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は24年度の研究を引き続き行う。高血糖負荷による糖尿病性病態モデルの作製に後期糖化反応生成物(advanced glycation endoproduct, AGE)-BSAも用いる。BBB障害の一部にTGF-βが関与していると考えられるため、そのシグナル伝達も検討する。特にTGF-βの産生細胞同定と、バリアー機能の本体であるタイトジャンクションの発現および機能を検定する。同時に、内皮障害の軽減薬剤の探索も行っていく。候補薬物としてはこれまで我々がBBB保護作用がある事を報告してきた、cilostazol, statin, ARB, adrenomedullinなどを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
高血糖によるBBB障害モデルの作製が遅れており、次年度に重点的に検討する予定である。当初の予定に加え、高血糖負荷だけではなく虚血との組み合わせも検討していく。
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