肝臓癌は世界的に死因の上位を占め、現在の癌早期発見の概念よりもさらに早い前癌段階で診断できるマーカーの同定は急務である。 ラットに肝臓癌を誘起させる物質を長期投与し飼育した。細胞死を誘導する蛋白質であるNADE(p75-NTR associated death executor)の発現上昇は、組織形態学的変化が見られる前に開始し、遅れて癌幹細胞マーカーの発現上昇が始まった。癌幹細胞マーカーの発現は死亡直前まで上昇し続けたのに対し、NADEの発現は減少した。NADEは前癌段階から顕著な発現を始め、発癌過程を通じて特徴的な発現パターンを示すことから、前癌マーカーとして有用性があることが示唆された。
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