慢性炎症、すなわち弱くて長期に渡る免疫細胞の活性化はがん、動脈硬化、アルツハイマーなどの年齢とともに起こる多くの疾患の原因である。その原因はまだよくわかっておらず根本的な治療法もない。本研究では、体中に広く分布する血管内皮細胞で細胞老化が誘導されると、CDC42が活性化することをヒト培養細胞で見出した。さらにその働きにより炎症が強まり、動脈硬化が促進することをマウスでも見つけた。さらにモデル生物線虫を用いて、CDC42が過剰な免疫反応の促進と、それによる寿命の短縮を引き起こす事も見つけた。以上から生物種を超えて、CDC42が細胞老化に伴う慢性炎症の誘導、寿命短縮に寄与する可能性がある。
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