研究課題/領域番号 |
24790278
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 淳 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30511894)
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キーワード | リン脂質 / スクランブル活性 / クロライドチャネル / phosphatidylserine / phophatidylcholine |
研究概要 |
前年度までにTMEM16Fファミリーのイオンチャネル活性とリン脂質スクランブル活性を解析し、それぞれのファミリーメンバーが異なった活性を持っていることが分かった。本年度はその成果をもとに、イオンチャネル活性をもつTMEM16Aとリン脂質スクランブル活性をもつTMEM16Fを比較することで両者の機能に共通の領域、異なる領域を同定しようと考えた。TMEM16A、16F共に8回膜貫通領域によって構成されておりカルシウムで活性化される。そこで、それぞれの膜貫通領域において両タンパク質間でSwappingさせたところ、N末端の細胞質領域、C末端の細胞質領域においては両タンパク質間で交換可能であることが分かった。次にTMEM16Aのpore領域と考えられている5回膜貫通領域と6回膜貫通領域の間の細胞外領域を解析した。TMEM16Aの活性を消失させることが知られているアミノ酸変異をTMEM16Fにも保存されている同様のアミノ酸に挿入し解析したところ、TMEM16Fの活性を消失させることが分かった。最後にTMEM16Aの活性を抑制することが知られている薬剤のTMEM16Fへの効果を調べたところ、epigallocatechin-3-gallateにおいてはTMEM16AへのIC50が100uM以上であるのに対し、TMEM16Fに対しては1uM以下であることが分かった。一方でdigallic acidに関しては、TMEM16AへのIC50が4uMであるのに対し、TMEM16Fに対しては100uM以上であることが分かった。以上の結果は、TMEM16A、16F共に非常に良く似たメカニズムで活性化されるが、それぞれに対して特異的な薬剤を開発することが可能であることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度にTMEM16ファミリーの解析を行い全体像を把握した後、今年度はタンパク質レベルでの詳細な解析を行うことでができたため。
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今後の研究の推進方策 |
TMEM16ファミリーの活性化においてカルシウムが重要であるがその作用点は不明なままである。今後はその点を明らかにしたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は分子生物学的手法を軸にした実験により研究が進められ、物品費などが前年度の費用で購入したものでまかなわれたため。 次年度は生化学的手法により研究が進められる予定であり、例えば細胞の大規模培養など出費が多いと思われるため、その分を今年度からの繰越金によりまかないたい。
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