研究課題/領域番号 |
24790283
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
栗田 宗一 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30595484)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 細胞間接着 / アファディン |
研究概要 |
本研究では、細胞間接着の形成開始におけるアファディンを中心とした裏打ちタンパク質間の相互作用の変化に着目し、裏打ちタンパク質間相互作用による細胞間接着の形成機構を解明する。平成24年度は、カドヘリン系の裏打ちタンパク質PLEKHA7とアファディンの結合の細胞間接着形成における役割を中心に解析した。 アファディンとPLEKHA7の結合部位を免疫沈降法、GSTプルダウン法により同定した。マウス乳腺上皮由来のEpH4細胞においてPLEKHA7をノックダウンすると、カドヘリン系接着の形成が阻害される。この表現型は野生型PLEKHA7の発現によってレスキューされたが、アファディンの結合部位を欠失させたPLEKHA7変異体ではレスキューされなかった。このことから、PLEKHA7とアファディンの結合は細胞間接着に形成に重要な役割を果たしていることが明らかとなった(論文投稿中)。この成果は、まだ文献が少なく、その機能や作用機序に不明な点が多いPLEKHA7について新たな知見を加えるとともに、裏打ちタンパク質間相互作用による細胞間接着形成の制御機構の一端を明らかにしたものとして重要である。また、カドヘリン系の裏打ちタンパク質であるα-カテニンとアファディンの結合部位をGSTプルダウン法により同定した。この結合はAJを構成するカドヘリン系とネクチン系の機能的な相互作用に重要であるが、結合部位は長らく不明であった。今回結合部位を同定したことは、細胞間接着形成の作用機序を詳細に解明する端緒と成り得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、細胞間接着の形成開始におけるアファディンを中心とした裏打ちタンパク質間の相互作用の変化に着目し、裏打ちタンパク質間相互作用による細胞間接着の形成機構を解明することを目的とする。細胞間接着の形成開始における裏打ちタンパク質の相互作用の「変化」という点についてはまだ十分に解析ができていないものの、ネクチン系の裏打ちタンパク質アファディンとカドヘリン系の裏打ちタンパク質PLEKHA7の相互作用を新たに見出し、その相互作用の細胞間接着形成における役割を明らかにした。これは、裏打ちタンパク質間の相互作用による細胞間接着の形成機構の一端を明らかにするものであり、本研究の進捗において重要な成果である。さらに、α-カテニンとアファディンの相互作用についても解析を進めており、成果をあげることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に得られた結果を踏まえて、裏打ちタンパク質間の相互作用の変化と細胞間接着の形成過程の相関に着目し、細胞間接着形成における裏打ちタンパク質間相互作用の機能と作用機序を総合的に解析する。具体的には、研究計画(2)の裏打ちタンパク質間相互作用によるAJの形成機構については、平成24年度に明らかにしたα-カテニンとアファディンの結合部位の知見を基に、マウス乳腺上皮由来のEpH4細胞を用いて、この相互作用の細胞間接着形成における役割と作用機序を解析する。平成24年度に実施できなかった研究計画(3)の裏打ちタンパク質間相互作用によるTJの形成機構についても、同様に解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、研究計画(2)の裏打ちタンパク質間相互作用によるAJの形成機構を中心に行い、論文投稿まで研究を推進したため、平成24年度に計画していた研究計画(3)の裏打ちタンパク質間相互作用によるTJの形成機構については実施できなかった。平成25年度の研究費は、研究計画(2)のアファディンとα-カテニンの相互作用の細胞間接着における意義の解明と、平成24年度に実施できなかった研究計画(3)の裏打ちタンパク質間相互作用によるTJの形成機構の解明を合わせて実施するために使用する。
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