研究課題/領域番号 |
24790283
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
栗田 宗一 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30595484)
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キーワード | 細胞間接着 / アファディン |
研究概要 |
本研究では、細胞間接着の形成開始におけるアファディンを中心とした裏打ちタンパク質間の相互作用の変化に着目し、裏打ちタンパク質間相互作用による細胞間接着の形成機構を解明する。平成25年度は、前年度に引き続き、カドヘリン系の裏打ちタンパク質PLEKHA7とアファディンの結合の細胞間接着における役割について解析し、原著論文として報告した。 前年度に、マウス乳腺上皮由来のEpH4細胞においてPLEKHA7をノックダウンしてもアファディン-ネクチン系は影響を受けないことを示した。一方、アファディンをノックダウンすると、PLEKHA7を含むカドヘリン系分子の細胞間接着部位への集積が減弱することが明らかになった。このことは、アファディンがPLEKHA7を含むカドヘリン系分子の細胞間接着部位への集積に強く関与することを示している。さらに、PLEKHA7ノックダウンのレスキュー実験において、アファディンの結合部位を欠失させたPLEKHA7変異体は野生型PLEKHA7と比較して、細胞間接着部位への集積が弱く、細胞質に点状に局在し、E-カドヘリンの集積をレスキューできないことを明らかにした。アファディン結合部位を欠失させたPLEKHA7変異体は、アファディン以外の結合タンパク質、p120カテニンとNezhaと結合することを明らかにした。これらのことから、PLEKHA7とアファディンの結合は上皮細胞のアドへレンスジャンクションの形成において重要な役割を果たしていることが明らかとなった(Kurita et al., J. Biol. Chem. 2013)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、細胞間接着の形成開始におけるアファディンを中心とした裏打ちタンパク質間の相互作用の変化に着目し、裏打ちタンパク質間相互作用による細胞間接着の形成機構を解明することを目的とする。ネクチン系の裏打ちタンパク質アファディンとカドヘリン系の裏打ちタンパク質PLEKHA7の相互作用を新たに見出し、その相互作用の細胞間接着形成における役割を明らかにし、原著論文として報告した(Kurita et al., J. Biol. Chem. 2013)。さらに、前年度にその結合部位を同定したα-カテニンとアファディンの相互作用についても、α-カテニンに結合できないアファディン変異体の作成を進めている。これを用いて、細胞間接着形成におけるα-カテニンとアファディンの結合の意義について平成25年度と同様の系で解析し、成果をあげることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に得られた結果を踏まえて、裏打ちタンパク質間の相互作用の変化と細胞間接着の形成過程の相関に着目し、細胞間接着形成における裏打ちタンパク質間相互作用の機能と作用機序を総合的に解析する。平成25年度はアファディンとPLEKHA7の結合の細胞間接着形成における役割についての論文の査読に時間がかかったため、実施予定であったα-カテニンとアファディンの結合の細胞間接着形成における役割の解析は未実施となっている。平成26年度は、細胞間接着形成におけるα-カテニンとアファディンの結合の役割の解明を中心に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、細胞間接着形成におけるPLEKHA7とアファディンの結合の論文の査読に予定以上に時間がかかったため、実施予定であったα-カテニンとアファディンの結合の細胞間接着形成における役割の解析が未実施となった。この計画の実施のために、平成26年度使用額を計上した。 α-カテニンとアファディンの結合の細胞間接着形成における役割の解析に必要となる、細胞培養および生化学・分子生物学的実験に用いる試薬・消耗品の購入に使用する。
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