研究課題/領域番号 |
24790297
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
吉冨 泰央 金沢医科大学, 医学部, 助教 (80399039)
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キーワード | 血管新生 / 神経ー血管相互作用 |
研究概要 |
脊椎動物の血管は体の多くの部分で神経と並走しており、血管ネットワーク形成における神経―血管相互作用の重要性が指摘されてきている。最近、神経の分泌する可溶性因子VEGFおよびCXCL12が血管に働きかけて血管のリモデリングを誘導することが報告された(Li W et al. Dev Cell. 2013)。しかしながら神経―血管相互作用によってどのような遺伝子が血管内皮細胞内で活性化され、血管のリモデリングが行われていくのかはまだ全くわかっていない。本研究は、神経―血管相互作用により血管で活性化される遺伝子JunBに着目して血管ネットワーク形成のメカニズムを明らかにすることを目的としている。 24年度に、神経―血管相互作用の結果、血管内皮細胞内に特に強く誘導される遺伝子としてJunBを同定し、それがin vitroでの血管内皮細胞の増殖や管腔形成に関与することを見いだした。 平成25年度は以下の成果が得られた。 1.血管新生能をより生体内に近い形で評価するため、3Dコラーゲンゲル血管新生アッセイ系を用いてJunBの機能を解析した。その結果、JunBはコラーゲンゲル内への血管新生に対して促進的に作用することが明らかとなった。 2.DNAマイクロアレイを用いてJunBを過剰発現させた血管内皮細胞での遺伝子発現の変化を調べた。Ingenuity IPAを用いて血管内皮細胞でどのような遺伝子群がJunB制御下にあるのかを明らかにした。 3.新たに報告された神経ー血管ワイヤリング因子であるCxcl12について、JunBシグナルとの関連性について解析した。末梢神経から分泌されたCxcl12が血管内皮細胞に働きかけてJunBの発現を直接制御するのかどうかをリコンビナントCxcl12および末梢神経細胞のコンディショニングメディウムを用いて検討しその作用を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子改変マウスの入手に予定外の時間を要した。そのため実験に必要な数のマウスの繁殖に時間がかかっている。また、in uteroで正確に微量のレンチウイルスを導入する機器の準備に時間がかかった。レンチウイルスの準備は完了しているため、マウスの準備ができ次第実験に取りかかることが出来る。 in vitroでの血管内皮細胞を使った解析は現在までおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではこれまでに、神経―血管相互作用の結果、血管内皮細胞内に特に強く誘導される遺伝子JunBを同定し、それがin vitroでの血管内皮細胞の増殖や管腔形成に促進的に作用することを見いだした。そこで、26年度には、生体内(個体レベル)で血管ネットワーク形成におけるJunBの機能を明らかにする。VE-cadherin Creマウスの胎児にin utero lentivirus injection法によりfloxed shRNAを導入し、血管のみで働くshRNA発現系を用いて胎児皮膚毛細血管における神経-血管ネットワーク形成における当該遺伝子の機能を明らかにする。
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