研究課題/領域番号 |
24790300
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
岡澤 慎 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40414130)
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キーワード | 小脳顆粒細胞 / 静止膜電位 / 神経成熟 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
神経細胞はその発生初期から成熟期にかけて電気的性質を、ダイナミックに変化させ、さまざまなカルシウムシグナルの活性の制御を行う。にもかかわらず、神経回路形成における電気的性質の変化の役割はいまだ不明な点が多い。本研究ではこれまでの研究を発展させ、分子生物学的視点だけでなく、電気生理学的視点を組み込むことで、新たな視点から神経ネットワーク構築メカニズムを明らかにする。 小脳顆粒細胞をもちいたこれまでの研究で、脱分極条件下、カルシニュリン依存的に発現が上昇し、かつ、発生・成熟にともない、遺伝子の発現が減少する未成熟遺伝子の多くが、活動電位依存的に発現抑制を受けることを初代培養系で明らかにしたが、今年度はそのように活動電位の阻害によって発現が上昇する未成熟遺伝子を、さらに複数個同定した。また、神経活動依存的な成熟遺伝子の発現制御、未成熟遺伝子の発現抑制のメカニズムを明らかにするため、遺伝子発現の経時変化をin vivoおよび、初代培養系をもちいて検討した。その結果、未成熟遺伝子においては、その発現変化に様々なパターンが存在することが明らかとなった。すなわち、培養後すぐに発現の減少しはじめる遺伝子、培養二、三日目まで発現が維持あるいは上昇し、その後減少しはじめる遺伝子等、複数タイプに分類できると考えられた。さらに、未成熟遺伝子が神経活動依存的に発現抑制を受ける細胞内メカニズムを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の研究目的である、神経ネットワーク構築メカニズムの解明について、平成24年度の結果を元に、新たな事実を明らかにできたから。
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今後の研究の推進方策 |
未成熟遺伝子の発現抑制と、シナプス伝達やカルシウムチャネルとの関係を明らかにし、成熟遺伝子の発現メカニズムと比較する。また、カルシウムシグナル調節因子による成熟遺伝子発現、未成熟遺伝子発現抑制の制御や、未成熟遺伝子発現の抑制に関わる転写因子を同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度初めに頻度の高い消耗品の購入が予想されたため、次年度に繰り越した。 消耗品に使用する。
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