研究概要 |
申請書の元となった論文(Inoue et al., Gene, Vol487, p151-155, 2011)を獨協で新たに材料を揃えて追試した。結果は概ね報告通りで、RUNX1およびRUNX3タンパクの合成はほぼ全ての細胞株で検出感度以下だった。 そこで計画通り、プロテオソーム阻害剤MG132を用いて、それぞれの遺伝子がタンパク分解で制御を受けているかを検討した。MG132は一部の細胞株で細胞死を引き起こしたが、RUNX1、RUNX3ともにタンパクの安定化は確認されなかった。データはRUNX1およびRUNX3のタンパク量の調節は、mRNAの転写よりも後で、タンパク分解よりも前の段階で制御されていることを示唆している。 両遺伝子ともに比較的長い3’UTRを有し、microRNAが結合するという報告もあるため、神経芽腫においてRUNX1とRUNX3のタンパク合成はmicroRNAで調節されていると仮説を立てた。 現存するプラスミドcDNAではデータベース上の3’UTRの全長をカバーしていないため、ヒト線維芽細胞TIG3のゲノムDNAよりそれぞれの3’UTRをクローニングした。これをレポーター遺伝子Luciferaseの3’UTRに挿入したプラスミドを作成し、microRNAセンサーとした。RUNX1の3’UTRは4kbpに渡るため、後転写制御の責任領域を同定する目的で前半と後半のそれぞれ2kbpのコンストラクトも作成した。RUNX1およびRUNX3タンパクを多量に合成する比較対照としてそれぞれ、HepG2およびSK-N-MCを用いた。レポーター実験は現在進行中である。
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