研究課題/領域番号 |
24790330
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
中谷 直史 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (00421264)
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キーワード | マイオスタチン / 分泌因子 |
研究概要 |
本研究は、骨格筋が分泌する因子(マイオカイン)の探索、骨格筋と全身の各組織・臓器との、組織間クロストークを明らかにする事を目標としている。申請者はこれまでに、骨格筋量抑制因子であるマイオスタチンに注目し、マイオスタチン阻害分子を用いて骨格筋量が増加したマウスを作製している。本研究では筋量が増加したマウスの血清を用いて、骨格筋分泌因子の探索を行う。24年度の研究で確立した血清サンプル精製法(血清中に存在するIgGやアルブミンなどの血清主要構成成分を除く)をもちい、サンプル調製を行い、25年度にiTRAQによる網羅的血清成分スクリーニングを行なった。しかしながら、現行の精製方法では骨格筋分泌因子の検出は難しく発見には至っていない。25年度は前年度の方法に、さらに分子量ごとの分離を新たな条件として加えサンプル精製法を改良した。平行して、筋肥大マウスにおける、脂肪、肝臓、すい臓、骨での変化を捉えるための実験系の確立を行った。筋肥大マウスにおける骨量の増加について、小動物用マイクロCT、骨組織標本の作製を行い、骨量の変化を調べるための実験系の構築を行い、その結果マイオスタチン欠損マウスの骨量の変化について詳細な情報を得ることが出来た。また、個体間の液性因子の作用を評価するために、Parabiosis(平体結合)の実験系を導入した。GFPマウスを用いた予備実験では、血液因子が個体間で行き来することを確認することが出来ている。26年度はこれらの実験系を用いて研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度も筋肥大マウスの交配がうまくいかず、実験を行うための個体数を得るのに時間がかかっている。筋肥大マウスは交配の頻度が低く、また生まれてくる子供の数も少ない事が基本的な原因である。改善策として交配の規模を増やすことで対応した。新しくParabiosis(平体結合)の実験系を導入した。筋肥大マウスと野生型マウス、病態マウスも用いることで、血液中の液性因子を介した作用を個体レベルで調べることが可能になった。26年度はこの実験系を用いて筋肥大マウスの血液中の因子による作用を個体レベルで明らかにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、筋肥大マウスと野生型マウスの血清を、改良した血清精製法をもちいてサンプル調製を行い、網羅的プロテオミクス解析(iTRAQ)をおこなう。得られた結果から、分泌因子に注目して目的の分子の絞り込みを行なう。血清成分の網羅的なスクリーニングでえられた結果をもとに、個体での作用を検討する。また、血液中の液性因子を介した骨格筋分泌因子の作用をマウスの個体レベルで確認することで、今後の病態モデルでの応用に繋げたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物の繁殖が遅れたため、実験計画が遅れてしまった。そのため、網羅的スクリーニングを行なうことが出来なかった。26年度は繁殖の規模を拡大し対応するため、問題は解決できると考えられる。 網羅的スクリーニングで行う予定の外注費用、網羅的スクリーニング結果がでた場合に必要なタンパク質測定用ELISA kitなどの購入。
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