研究概要 |
本研究は中枢神経原発大細胞性B細胞性リンパ腫(CNS-DLBCL)を対象として行う研究であり、1) 生物学的特性を解明し、2) 既存の治療に対しての治療効果予測因子を見出し、3) 新しい治療ターゲットになりえる分子について解析することを目的としている。そのうち本年度は以下の点に関して課題に取り組んだ。 1)生物学的特性の解明: a)免疫学的形質のプロファイリング: 対象症例28例を抽出し、ホルマリン固定後パラフィン検体における免疫組織化学を施行した。CD3, CD20, CD5, CD10, BCL6, MUM-1, EBER1-ISHにて胚中心型(GC type)と活性型(Non-GC type)に分け、GC typeは7例、Non-GC typeは21例であった。一般に生物学的予後不良群と考えられているNon-GC typeが多かった。 b)分子病理学的解析による増殖活性の検討:Ki-67抗体にて免疫組織化学にて増殖活性を検討し、Ki-67標識率を画像解析システムにて解析を行った。結果、標識率は26~98%とであった。うち24例は85%を越えて増殖活性の高い腫瘍であると推測された。目視で行った解析では全症例が80%を越え、乖離4例を検討した。画像解析システムでは領域で解析していたが、非腫瘍細胞が多数混在し、これらの非腫瘍細胞も解析対象細胞としてしまい、画像解析での標識率が低くなってしまったと推測された。 2)治療ターゲットとなりうる分子の検討:既存の脳腫瘍適応薬剤の治療効果と相関があるといわれているMGMT(O6-methylguanin-DNA methyltransferase)のメチル化の検討を行うため、パラフィン切片からDNAを抽出し、MGMTのメチル化の予備実験を行い手技を確立し、現在対象症例に関して解析中である。同時に免疫組織化学にてMGMTの検討を行った。
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