研究課題
本研究は中枢神経原発大細胞性B細胞性リンパ腫(PCNS DLBCL)を対象として行う研究であり,[1] 生物学的特性を解明し,[2] 既存の治療に対しての治療効果予測因子を見出し,[3] 新しい治療ターゲットになり得る分子について解析することを目的としている.H24~25年度では,[1] 生物学的特性の解明として a) 免疫学的形質 (IHC)のプロファイリング b)分子病理学的解析による増殖活性の検討を行い,[3]に関して,a) MGMT IHCの結果と予後解析,b) 対象症例のパラフィン切片からDNAを抽出し,methylation-specific PCR (MSP)によりMGMTメチル化の検討と予後解析を行った.H26年度では,上記課題[2]に関して,現在標準治療法となっているメソトレキセート(MTX)の大量化学療法と全脳照射による放射線療法の併用(HD-MTX + RT)療法を受けた28患者のFFPE検体を用いた検討を行った. FFPE検体からDNA抽出・バイサルファイト処理を行ったのち,悪性リンパ腫でメチル化することが知られているLINE1,CDKN2A,DAPK1,MGMT遺伝子プロモーターのメチレーション解析を,パイロシーケンサーを用いて行った. 治療効果との関連性に関する解析では,CDKN2AおよびDAPK1の低メチル化群で,HD-MTX + RT治療の奏効率は共に100%であったのに対し,高メチル化群の奏効率は共に45%と,高メチル化群で有意に低下した(共にp=0.006).生存期間解析では,DAPK1の低メチル化群で有意な無増悪生存期間(PFS)の延長が(logrank, p=0.027),またLINE1の低メチル化群で有意な全生存期間の延長が認められた(logrank, p=0.017).以上本結果からは,HD-MTX + RT治療における効果予測にはDAPK1,CDKN2A,LINE1などの遺伝子プロモーターのメチル化状態の把握が有用である可能性が示唆された.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
J Histochem Cytochem
巻: 63 ページ: 217-227
10.1369/0022155414563800
Hematol Oncol
巻: Epub Ahead of Print ページ: -
10.1002/hon.2162
J Neurol
巻: 261 ページ: 2314-2318
10.1007/s00415-014-7500-y