研究課題/領域番号 |
24790343
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高木 清司 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (80595562)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 男子乳癌 / エストロゲン |
研究概要 |
本研究に関する平成24年度の主な研究成果は以下の如くである。 1.男子乳癌組織におけるエストロゲン受容体の発現意義の解析 男子乳癌30例および閉経後女子乳癌70例を対象とし、エストロゲン受容体 (ER)alphaとERbetaに対する免疫染色を施行し、結果を比較した。その結果、男子乳癌におけるERalphaおよびERbetaの発現は女子乳癌と比較して有意に高頻度かつ高値であることを見出した。また、ERalphaとその応答遺伝子であるプロゲステロン受容体 (PR)の間に有意な正相関を認め、男子乳癌においてもエストロゲンが十分に作用していることが示唆された。現在、対象症例の臨床病理学的情報の収集中であり、ERの発現と臨床病理学的因子との関連を引き続き解析していく予定である。 2.男子乳癌におけるエストロゲン応答遺伝子の発現プロファイルの検討 男子乳癌凍結組織および閉経後女子乳癌凍結組織各4例からtotal RNAを抽出し、マイクロアレイ解析に供した。既知のエストロゲン応答遺伝子に限定して解析を行ったところ、エストロゲン応答遺伝子の発現プロファイルは男女間で大きく異なっており、男子乳癌でより高発現する遺伝子と女子乳癌で高発現する遺伝子を同定した。これらの遺伝子に対して免疫染色を施行したところ、マイクロアレイ解析と同様の結果が得られた。これらより、男子乳癌と女子乳癌ではエストロゲンの作用に差異があることが示唆された。この作用の違いと抗エストロゲン療法の感受性との関連について今後検討していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた性ホルモン受容体およびエストロゲン応答遺伝子の発現解析は概ね終了している。また、次年度に予定している組織中性ホルモン濃度の測定についても準備が整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究によって男子乳癌組織における性ホルモンの重要性が十分に示唆されたため、平成25年度は引き続き性ホルモン局所合成経路の探索の実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
病理標本作製関連費用として10万円を計上していたが、対象症例の一部に関し既製標本を使用することができたので余剰が発生した。 平成25年度に予定している組織中性ホルモン濃度の測定に関し、エストロゲンの前駆体であるアンドロゲンの濃度の測定も追加したいと考えており、24年度に発生した余剰を性ホルモン濃度の測定に充てる予定である。
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