研究課題
1.男子乳癌における組織中性ホルモン濃度の測定組織中性ホルモン濃度をLC-MS/MS法にて測定した。組織中エストラジオール濃度は、非腫瘍組織と比較して男子乳癌組織において有意に高値(中央値で14倍)であり、女子乳癌組織と比較しても高い傾向(中央値2.8倍)であった。男子乳癌患者の血中エストロゲン濃度は健常者の2倍程度と言われていることから、男子乳癌組織においては女子乳癌組織と同程度もしくはそれ以上に局所エストロゲン合成が行われているものと示唆された。2.男子乳癌組織におけるエストロゲン合成酵素の発現次に、男子乳癌組織におけるエストロゲン合成酵素の発現を免疫組織化学的方法にて検索したところ、アロマターゼおよび1形17β水酸化ステロイド脱水素酵素の発現が正常乳腺組織と比較して亢進していた。また、それらの発現頻度は女子乳癌と同程度であった。一方、ステロイドスルファターゼの発現はほとんど認められなかった。3.男子乳癌組織におけるエストロゲン受容体の発現意義の解析(平成24年度より継続)男子乳癌におけるエストロゲン受容体の発現と各種臨床病理学的因子との相関を解析したところ、両者の間に有意な相関は見られなかった。これは、検索した症例がいずれもエストロゲン受容体の発現が陽性で、発現量も軒並み高かったため、陰性症例もしくは低発現の症例が少なかったためと考えられる。男子乳癌におけるエストロゲン受容体の発現意義をより詳細に検討するためには、症例数を増やした更なる検討が必要と考えられた。
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Horm Cancer
巻: 4 ページ: 1-11
10.1007/s12672-012-0126-6