研究課題
本研究の目的は、神経変性疾患であるレヴィ小体病の新たな診断法として、皮膚生検を確立する事である。レヴィ小体病は中枢・末梢神経系を侵す全身病であり、これまで、レヴィ小体の主成分である抗リン酸化αシヌクレイン(psyn)抗体を用いた免疫組織化学的検索により、皮膚にもレヴィ小体病理が広がっている事を明らかにしてきた。特異度は非常に高く、皮膚生検がレヴィ小体病の診断に有用であることを示したが、感度が低く、診断法として確立するためには、より高感度に病変を可視化する必要があった。その方法として、リン酸化蛋白検出法であるin situ proximity ligation assay法(PLA法)に注目た。計画では、PLA法のうち、dual recognition法を行う予定であったが、これまで使用してきた抗psyn抗体の染色性が非常に特異度が高いものであったため、一種類の一次抗体を用いるsingle recognition法を行う事とした。single recognition法により、免疫組織化学的検索とは異なるdot状の陽性像を中枢神経系で確認することができた。免疫組織化学的検索と比較し、高感度に病変部が可視化されているとは言い難い結果であったが、dot状の陽性像がみられる事で、免疫組織化学的検索では判断の難しい定量化による解析の可能性が示唆され興味深い結果であった。神経変性疾患の病理にPLAを応用した報告は少なく、様々な神経変性疾患病理・研究への応用に繋がる事が期待される。
2: おおむね順調に進展している
計画では、初年度に、中枢神経系および皮膚検体を用いて、PLA法によるリン酸化αシヌクレインの検出法を確立する事を目標とした。single recognition法のみでは、最適な検出法の確立とはいえず、当初の計画予定より若干は遅れているものの現在はプロトコルの最適化に取り組み良好な結果を得ている.
2種類の一次抗体を用いるdual recognition法による検出法を試みる。また、single rectonigion法及びdual reconignition法において, ブロッキング時間の検討や、DAB発色への変更などによりプロトコールの最適化を目指す。これらにより確立された検出法を、より多くの症例に対して検討し、PLA法によって検出される皮膚リン酸化αシヌクレインの特異度・感度を明らかとする。
dual recognition法を行うための染色キットおよび抗体を購入する予定である。
すべて 2012
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Am J Hum Genet.
巻: 91 ページ: 320‐329
10.1016/j.ajhg.2012.07.014 .