研究概要 |
腎癌におけるGNMTのタンパク発現を調査するために、まずは、細胞株を用いた実験を施行した。良性腎細胞として、HEK293(ヒト胎児腎細胞由来)、腎癌細胞として、KG-2(淡明腎細胞癌由来)、Caki-1(淡明腎細胞癌由来)、ACHN(腎臓腺癌由来)細胞株、SKR1 (多型細胞型腎癌由来)、KPK1(腎細胞癌由来)、KPK13(腎細胞癌由来)NKK1(淡明腎細胞癌由来)を用いて、ウエスタンブロット法を施行した。抗GNMT 抗体(sc-68871, rabbit polyclonal, Santa Cruz Biotechnology, CA, USA)を用いた。タンパク濃度はProtein Assay Kitを用いてBradford’s methodに基づいて決定した。Whole-cell extractsはSDS PAGEによって分離した。正常腎細胞株、および各種腎癌細胞株にタンパク発現を認めた。 次に、GNMTの細胞増殖について調査するために、細胞株へのsiRNA導入実験を行い、細胞増殖能を調べた。正常腎細胞株であるHEK293、GNMTタンパクが弱く発現していた腎癌細胞株ACHN、強く発現していた腎癌細胞株SKR1を用いた。各細胞株にsiRNAを用いて、GNMTをノックダウンさせ、コントロールと比較した。細胞を培養し、セルカウンター(Beckman Coulter, Fullerton, CA, USA)を用いて計測した。GNMTをノックダウンしたところ、各細胞株の増殖は抑制された。正常腎細胞株HEK293やGNMTが弱く発現していた腎癌細胞株ACHNに比べ、GNMTタンパクが強く発現していた腎癌細胞株SKR1の細胞増殖はより強く抑制された。腎癌細胞株の特性によっては、GNMTが細胞増殖に強く関連していることが示唆された。
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