研究課題
SMARCB1/INI1(以下INI1)蛋白陰性腫瘍群のうち、類上皮肉腫48例(古典型28例、近位型20例)に関して解析を行った。これらに対して、Akt-mTOR経路関連蛋白(Akt、mTOR、S6RP、4E-BP1)の活性化状況(リン酸化)を免疫組織学的に検討した。尚、評価法は内因性コントロールよりも染色強度の高い細胞が10%以上の場合を陽性(活性化している)とした。その結果、Akt、mTOR、S6RP、4E-BP1の陽性率は各々、古典型で71.4%、78.6%、67.9%、85.7%、近位型では60.0%、75.0%、65.0%、90.0%と高値であった。また類上皮肉腫全体で、各蛋白の経路順の相関関係はAktからmTORへはP=0.26、mTORからS6RPへはP=0.02、mTORから4E-BP1へはP=0.12であった。また、Akt、mTOR、S6RP、4E-BP1の活性化群と非活性化群での予後の比較については、各々古典型でP=0.70、P=0.16、P=0.76、P=0.047(参考値)、近位型ではP=0.69、P=0.47、P=0.92、P=0.94となり、有意差は認めなかった。類上皮肉腫においては高率にAkt-mTOR経路が活性化されており、増殖に重要な役割を果たしている可能性が考えられ、mTOR阻害薬が一定の効果をもたらす可能性は考えられる。しかし、非活性化群との予後的有意差がないことから、腫瘍の増殖に別の経路が大きく関与していると考えられた。また、類上皮肉腫は小児に発生する悪性ラブドイド腫瘍との鑑別が問題になるが、悪性ラブドイド腫瘍のうち、組織学的に特に類似している群ではAkt-mTOR経路関連蛋白の活性化は4E-BP1で75.0%である以外は15-20%と低活性であり、分子生物学的に異なる腫瘍である可能性が示唆された。
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