研究概要 |
胆道癌は極めて予後不良な癌であり、予後改善のためには胆道癌特異的な診断マーカーの確立が急務である。本研究では、claudin-18及びmaspinの発癌過程及び癌における生物学的特徴を解析し、胆道癌の診断マーカーとしての有用性を評価・確立することを目的としている。平成24年度は以下の実験を行い、結果を得ている。 1)胆道癌切除材料(66症例)を用いてclaudin-18, maspin, p53の免疫染色を実施した。いずれの抗体も浸潤癌、上皮内病変部での良好な染色性を示す一方で、正常上皮での染色性は低いことが確認された。claudin-18は分化度により染色性が低下傾向にあることが確認された。3種の抗体を組み合わせることで、感度、特異度ともに高く、腫瘍・非腫瘍を判別可能であることが確認された。 2)胆道癌細胞株での各種刺激におけるclaudin-18, maspinの発現変化を検討した。複数の細胞株において、claudin-18はEGF, TFGβ, hypoxia等の刺激により著明な発現増加が確認された。maspinは各種刺激に対して、顕著な発現変化は確認されなかった。 3)胆道癌細胞株で、claudin-18がエピジェネティックな修飾により発現調節を受けている事を確認した。DNAの脱メチル化処置により、claudin-18の発現は増加した。maspinの発現に大きな変化は見られなかった。また、ヒストンのアセチル化剤処置によりclaudin-18の発現が変化した。
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