研究概要 |
胆道癌は極めて予後不良な癌であり、予後改善のためには胆道癌特異的な診断マーカーの確立が急務である。本研究では、claudin-18及びmaspinの発癌過程及び癌における生物学的特徴を解析し、胆道癌の診断マーカーとしての有用性を評価・確立することを目的とし ている。平成25年度は以下の実験を行い、結果を得ている。 1)胆道癌切除材料を用いてclaudin-18, maspinの二重免疫染色を実施した。claudin-18は膜に、maspinは細胞質と核に局在した。非腫瘍上皮では両者ともに陰性、BilINを含める腫瘍性病変では両者が陽性となった。claudin-18, maspinの二重免疫染色は腫瘍/非腫瘍の鑑別方法として有用である可能性が示唆された。 2)平成24年度に引き続き、胆道癌細胞株での各種刺激におけるclaudin-18, maspinの発現変化を検討した。maspinは各種刺激に対して、顕著な発現変化は確認されなかった。claudin-18はEGF, TFGβ, hypoxiaに加え、RAS変異体強制発現、スクラッチ刺激により発現変化が確認された。阻害剤の実験により、各種刺激に対するclaudin-18発現調節のシグナル経路を明らかにした。 3)胆道癌細胞株で、claudin-18の発現抑制、強制発現を行った。増殖能、浸潤能について解析を行った結果、claudin-18の発現変化が細胞株の増殖能、浸潤能に関与する可能性が示された。
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