研究課題/領域番号 |
24790357
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
安岡 弘直 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30405419)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 甲状腺未分化癌 / podocalyxin |
研究概要 |
①ヒト甲状腺未分化癌組織を用いたPODXLの役割に関する解析: 甲状腺腫瘍通常標本を用いてezrin, リン酸化ezrinを含む免疫染色を行った.PODXL発現は甲状腺未分化癌症例特異的であった.ezrin,リン酸化ezrin発現は甲状腺癌症例に強くみられ,分化形質発現の減少と関連がみられた.甲状腺乳頭癌症例では,ezrin, リン酸化ezrin発現は乳頭癌局所浸潤,リンパ節転移と正の相関関係を有していた.未分化癌ではリン酸化ezrin発現はPODXL陰性例でもみられたが,PODXLとリン酸化ezrin発現の相関がみられた. ②ヒト甲状腺癌培養細胞株を用いたPODXL発現による腫瘍悪性度,未分化転化に関する解析とその阻害実験: ヒト甲状腺癌培養細胞株においてPODXL強制発現を行った.形態変化は惹起されなかったものの,増殖能増大,浸潤・運動能増大が引き起こされた.両者の増大をみるものはなく,増殖能が増大するものの,浸潤・運動能増大がみられないもの,ならびに,浸潤・運動能増大がみられるものの,増殖能増大はみられないものの二者に分かれた.浸潤・運動能増大をみたものでは,足突起の発達がみられ,同部位にアクチン集簇,収束がみられ,リン酸化ezrin集簇ならびにPODXL発現がみられた.分化形質喪失,未分化転化に係わる分子検索を行ったが,培養細胞株によっては,元来分化形質を喪失しているものもあった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PODXLにかかわる臨床病理学的解析は材料収集が他施設との協力において行われる事もあり,目的症例数に到達していない.そのため,種々のPODXL関連分子の解析が終了できていない. PODXL遺伝子強制発現系に関しては,未分化癌に対するカウンターパートとなる細胞株がの有用なものがなく,導入細胞株により発現形質が異なり,実験系の組み立てが難しい.
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今後の研究の推進方策 |
①臨床材料を用いたPODXLにかかわる分子発現検討の継続 ②PODXLと関連する分子発現の網羅的検討 ③PODXL遺伝子導入細胞株に対する阻害抗体ならびにsrc阻害剤を用いた治療可能性の検討 ④ ②結果に基ずく動物モデルを用いたin vivoでの治療可能性の検討
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次年度の研究費の使用計画 |
臨床病理学的解析として前年度繰り越し分を用い,加えて,抗体パネル検索,遺伝子発現アレイ解析を追加する.細胞株を用いた実験系では,培養関連ならびに阻害抗体購入経費,動物実験費に充当させる.
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