近年胃カメラの発達で胃癌が早期に発見される機会が増え、それとともに見た目は似ているが性格の違う良性の腺腫と悪性の高分化型腺癌の区別に悩む症例が増えた。この研究では、病理組織学的なわずかな違いに着目し、それが実際に重要であることを腫瘍の悪性度の増加に関係する因子との関連性から証明し、良悪を区別するツールを作成することを目的とした。この研究で、核の重なりや腺管の枝分かれの程度からなる新たな指標と、悪性度の増加に関係する中心的な因子のβ-カテニン核集積などとの関係から、腺腫と腺癌を区別するフローチャートを作成した。良悪のより正確な区別により、胃カメラの発達に即した医療の提供に貢献できると考えられた。
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