様々な種類のがんにおいて、細胞の成長・タンパク合成を制御するmTORC1経路の活性化が認められているが、大腸がんにおけるmTORC1経路の役割は十分解明されていない。本研究では大腸がんモデルマウスにmTOR阻害薬を投与し、大腸がん形成に与える影響を解析することで、mTORC1経路が大腸がんの治療標的になりうるか検討した。mTOR阻害薬投与は大腸がんの拡大を抑制し、モデルマウスの生存期間を延長させたが、悪性化の指標である浸潤そのものは抑制できなかった。mTOR阻害薬投与によりフィードバック経路が活性化していたことから、この経路を抑制する薬剤との併用が必要である可能性が示唆された。
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