研究課題/領域番号 |
24790384
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 真典 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (50542106)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 |
研究概要 |
これまで多発性硬化症のマウス実験モデルである脳脊髄炎の抑制には、B細胞からの抑制性サイトカインIL-10の産生が必須であることが明らかにされている。そこで、平成24年度は脳脊髄炎を抑制するIL-10産生B細胞を同定することを目的に以下の研究を行った。 ①脳脊髄炎時におけるIL-10産生B細胞を同定するために、脳脊髄炎を誘発させたIL-10レポーターマウスの各組織から細胞を単離して解析を行った。その結果、リンパ節に存在するplasmablastが主要なIL-10産生B細胞であることが明らかとなった。 ②Blimp1の発現はplasmablastへの分化に必須であることから、Plasmalbastが脳脊髄炎を抑制するかを解明するために、B細胞特異的にBlimp1を欠損するマウス(plasmablastを欠損したマウス)を作製した後に脳脊髄炎を誘発させたところ、症状の悪化が観察された。 ③PlasmablastはBlimp1と呼ばれる遺伝子を特異的に発現することが報告されている。そこで、Plasmablastをマウスへ移入することにより脳脊髄炎が抑制されるかを解析するために、脳脊髄炎を誘発させたBlimp1レポーターマウスのリンパ節から単離したBlimp1陽性のplasmablastを、脳脊髄炎の悪化が観察されるB細胞欠損マウスへ移入したが、このplasmablastはリンパ節へ浸潤することができないために症状は抑制されなかった。 以上の結果から、Blimp1陽性のplasmablastがIL-10を産生して脳脊髄炎を抑制することが明らかとなった。今後、plasmablastによるIL-10産生メカニズム、および、plasmablastによる脳脊髄炎の抑制メカニズムを解明することは、多発性硬化症に対する新たな治療法の開発に繋がり、その意義は大きいものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までのところ、交付申請書に記載した研究計画通りに研究が進んでいることから、順調に研究が進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究から、脳脊髄炎を抑制するIL-10産生B細胞がplasmablastであることが明らかになったことから、平成25年度はplasmablastがIL-10を産生するメカニズム、および、plasmablastによる脳脊髄炎の抑制メカニズムを解明することを目的に研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究経費は、交付申請書に記載した使用計画通り、分子生物学的実験や細胞培養実験のランニングコスト、および、本研究課題を学会で報告するための経費に充てる。
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