研究課題
【研究成果の内容】上皮間葉転換による腎線維化病態への関与が示されている。しかしながら、液性因子Wnt5aが受容体型チロシンキナーゼRor2(Wnt5a受容体)に結合することにより形成されるシグナルを介した本病態への関与については不明である。前年度、腎線維化を示す片側尿管閉塞(UUO)マウスモデルを作成した。免疫蛍光染色法により、閉塞腎の尿細管上皮細胞においてRor2と細胞外基質分解酵素MMP-2の発現誘導が示唆された。さらに、UUO操作後、Ror2+/+と比較しRor2+/-マウスの腎において、MMP-2発現低下の影響もあり、破壊された尿細管基底膜はほとんど検出されなかった。今年度、腎線維化における細胞内代謝に関し明らかにするために、メタボローム解析を行った。腎線維化過程において変動する水溶性代謝物として、腎組織からグルタミン、ハイドロキシプロリン、フマル酸、グルコース等を見出した。【意義】腎不全モデルラットの血清中のメタボローム解析は行われているが(Zhang H et al. Mol Biosyst. 2012 ; 8: 595. )、腎組織に焦点を当てた水溶性代謝物の変動については不明であった。本研究により腎不全病態と関連する可能性のある代謝物の変動を初めて明らかにした点で意義深い。【重要性】腎線維化過程において特定の水溶性代謝物の変動が腎不全病態と関連する可能性を見出した。本研究の成果は関連分野の研究に重要な知見をもたらし、今後展開される解析の基盤を担うと考えられる。
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Ann Rheum Dis
巻: 未定 ページ: 未定
10.1136/annrheumdis-2013-203756. [Epub ahead of print]
Genes Cells
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