研究課題
若手研究(B)
【方法】(1)総頸動脈結紮モデル:Wild type (C57BL/6, WT) およびASK1-/-(C57BL/6 background) を用い左総頸動脈結紮後2週ないし3週で動脈を摘出した。①組織学・免疫組織化学的観察:結紮部より中枢側へパラフィン包埋連続切片を作製し、H&E染色を行って肥厚内膜の面積を比較した。加えてTUNEL染色や免疫組織化学的に検討を行った。平滑筋細胞 (SMC) および血管内皮細胞 (EC) のアポトーシスに関して、TUNELを用いた蛍光二重染色もしくはEn face蛍光二重染色も施行した。②mRNAの抽出:結紮後2週の左総頸動脈を用いてcDNAを作成した後real time RT-PCRを施行し、種々の炎症性サイトカインなどの発現を検討した。【結果】①結紮後3週の左総頸動脈においてASK1-/-ではWTと比し、新生内膜肥厚が有意に抑制されており肥厚内膜内の-SMA陽性SMCの単位面積当たりの数の減少も見られた。②ASK-/-では肥厚内膜内微小血管が有意に減少しており、浸潤するCD3陽性Tリンパ球の減少も観察された。更に複数の炎症性サイトカインの発現も減少していた。③ASK1-/-では肥厚内膜内および中膜内SMCのアポトーシスが有意に抑制されていた。加えてCD31陽性ECのアポトーシスも抑制されており、CD54/CD106といったEC由来の接着因子の発現も有意に抑制されていた。④ASK1-/-とWTの肥厚内膜内におけるSMCの細胞増殖能に有意な差は見られず、ASK1-/-においてPDGF-BBの発現が有意に減少していた。⑤ASK1-/-では、電子顕微鏡下の観察で肥厚内膜内SMCの分泌型への脱分化は明らかでなく、Masson’s trichrome染色において肥厚内膜内の細胞外基質の有意な減少が観察された。
1: 当初の計画以上に進展している
実験の大半を終了し、論文投稿を終えている。
骨髄移植モデル:約9 GyのX線を照射したWTに、WTおよびASK1-/-の骨髄を各々注射移植後5週で、同様の総頸動脈結紮モデルを作製し、組織学的観察を施行していく。
実験用動物関連 550,000 各種測定試薬 100,000 分子生物試薬 300,000一般試薬 50,000 チューブ類 50,000 ピペット類 50,000ガラス器具 50,000 計 1,15,000 旅費 50,000
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
The American Journal of Pathology
巻: 82 ページ: 597-609