研究課題
これまでの研究成果により、Plasmodium berghei (Pb) ANKA感染およびPb XAT感染におけるCD4+T細胞の活性化にはMHC IIが重要な役割を果たしているが、その活性化機構は両感染間で異なることが明らかとなっている。樹状細胞などの抗原提示細胞は、マラリア原虫を貪食・処理し、MHC class II分子‐抗原複合体を介して原虫特異的なCD4+T細胞を誘導することから、Pb ANKA感染とPb XAT感染間では、抗原提示細胞の活性化機構またはMHC II によって提示される抗原分子が異なると推測される。Pb XATはX線照射によって弱毒化された原虫である。弱毒化の原因は遺伝子の突然変異であると考えられるが、原因となる変異は明らかにされていない。Pb ANKA感染とPb XAT感染間におけるCD4+T細胞の活性化機構の違いは、この遺伝子変異に起因すると推測されることから、Pb XATの弱毒化の原因を解明することで弱毒化原虫特異的宿主免疫賦活化機構を明らかにできる可能性がある。そこで、次世代シーケンサーを用いてPb XATの全塩基配列を決定し、強毒株の塩基配列と比較することで弱毒化の原因遺伝子を特定することとした。比較ゲノム解析の結果、弱毒化に関わると推定される遺伝子変異が複数検出された。そこで、強毒株を用いて、遺伝子変異が検出された分子をそれぞれ欠損させた原虫を作出し、弱毒化との関係について検証した。その結果、弱毒化に関わると推定される分子の単独欠損では弱毒化しないことが明らかとなった。これらの結果から、Pb XATの弱毒化には複数の分子の異常/欠損が関与していることが示唆された。現在、弱毒化の分子機構を明らかにするために、Pb ANKAとPb XATの比較プロテオーム解析を行っている。
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FEBS letter
巻: 588 ページ: 2147-2153
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