研究概要 |
熱帯熱マラリア原虫の非メバロン酸経路を制御する化合物(阻害剤)の合理的開発につなげるため、同経路2番目の酵素であるPfDXRを標的としたSPR法により既存の阻害剤の結合強度測定を行った。 Biacore T100を用い、PfDXRをリガンドとしてアミンカップリング法によりセンサーチップ上に固定化し、アナライトとしてfosmidomycinまたはFR900098を用いて結合強度の測定を行った。ランニング緩衝液としては、まずは標準的なHBS-EP+ (0.01M HEPES, 0.15M NaCl, 3mM EDTA, 0.05% Surfactant P 20, pH7.4)を用いた。リガンドの希釈には10mMの酢酸緩衝液を用い、pHは4.0 と5.0で固定化量に差が見られなかったため5.0とした。この条件での測定では、箱型のセンサーグラムが得られ、カーブフィッティングによる解析は困難であり平衡値解析を行った。しかしながら、反応が極めて速いのか解離定数(KD)を算出することが出来なかった。次に、阻害剤だけでは結合が弱い、もしくは結合しないのではと考えPfDXRの酵素反応に必要であるMgを加えて測定を行った。金属が含まれる場合、ランニング緩衝液としてHBS-EP+は使えないため、これからEDTAを除いたHBS-P+(0.01M HEPES, 0.15M NaCl, 0.05% Surfactant P 20, pH7.4)を用いた。しかし、この条件でも上記のような箱型のセンサーグラムとなりKD値を算出することは出来なかった。さらに、Mgに加え補酵素であるNADPHを全ての溶液に加え測定を行ったが、改善は見られなかった。
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