研究課題
初年度においては、細菌分解として機能するオートファジーの制御因子としてRab9AとRab23を同定し、その機能を明らかにした。当該年度ではさらに、Rab30もオートファジーに関わることを明らかにし、その機能を解析した。Rab30は通常時ゴルジ体に局在し、ゴルジ体の形態維持に機能することが知られていたが、細菌が感染した際には、菌を取り囲むオートファゴソーム上にリクルートしていた。そのリクルートには、GTP結合型であることが重要であることもわかった。さらにRab30の発現をノックダウンした細胞を解析した結果、細胞内に侵入した菌に対するオートファゴソームの形成が有意に減少しており、感染後の菌の分解効率も減少していた。以上の結果から、Rab30が新規の細菌分解オートファジーの制御因子であることが示唆された。この結果については、現在論文投稿の準備中である。加えて、細菌分解オートファゴソームの膜供給システムの機能を解析した。様々なオルガネラの膜タンパク質の細胞内局在を精査した結果、リサイクリングエンドソーム (RE) に局在するトランスフェリンレセプター(TfR)がオートファゴソーム上に局在していた。これは、REが膜供給源の一つであることを示唆している。栄養飢餓条件下では、Rab11を介してREがオートファゴソーム形成に関与していることから、Rab11の局在解析、ノックダウン解析を行った結果、Rab11は細菌分解オートファジーには関与していなかった。そこで、REに局在することが知られているRabタンパク質群を網羅的に調べた結果、Rab17が細菌分解オートファゴソーム上に局在しており、ノックダウン結果の結果、Rab17はREとオートファゴソームの融合に関与していることが示唆された。以上の結果、細菌分解オートファジーでは、栄養飢餓時とは異なるRabタンパク質を用い、REを膜供給源の一つとして用いていることが示唆された。
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